真夜中のパンケーキ この魔法学校の図書館は、その蔵書数とそれをおさめるだけの異次元空間が有名だ。
カウンター、新刊コーナー、開放的な勉強スペースと通り過ぎれば、天井より遥か上を見上げるほどうずたかい本棚に囲われた円形のアトリウムに出る。
どこに何の本が収まっているのか把握するまでに、大分類だけでたっぷり半年はかかった。それでも、ここの本棚はことあるごとに移動するから結局検索機と司書さんのお世話になっている。
今日は数日ぶりに、放課後ひとりで訪れた。
薬草学の図鑑は大きくてとても寮の部屋に持ち帰る気になれないから、課題で必要なところだけメモして済ませるつもりだ。
大きな一冊を両手に抱えて机に向かおうとすると、ヒソヒソ話し合いながら新刊コーナー付近に固まっている集団が目に入る。
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