ツイッターに上げてたアチョ師弟のお話。漢方薬臭い空気に紫煙を吐き出して、霊幻はそれらがゆっくりと交じり合う様子を眺めていた。
使い古した机に頬杖をつきながら、丸窓のガラスを揺らして伝い響く、外界の喧騒に耳を傾ける。そろそろ、怪しげなネオンが街を照らし出す頃合いだ。忙しないバイクや車のエンジン音、女達の甲高い笑い声、酔客のがなり声が聞こえてくる。
そして、それらに混じってもう一つ、足音が近づいてくる事に気が付く。暫くすれば、手荒に扉を叩く音が聞こえた。
「どうぞ、開いてますよ」
そう声を掛ければ、勢いよく扉が開かれる。現れた男の顔を見た霊幻は、面倒な客が来た、と思った。男の顔は青白く、頬は痩せこけ、目の下には濃い隈が刻まれていた。瞳の焦点は定まっておらず、手は震えている。
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