Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    るしこ

    @akanbee_love

    増えてきたのでログまとめにいれたぶんとかは整理しました。スタンプくれた人ありがとうございました。
    R18はリス限です。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 77

    るしこ

    ☆quiet follow

    小説のテスト

    沈黙の手(官半のりはびり短文) するり、と重々しく仰々しい手袋を外すと、手首から徐々にその素肌が顕になる。
    爪は几帳面に切りそろえてられており、顔色と同じく肌は少々青白い。健康的とはいい難いが、整った指は長く、関節の骨ばった無骨な手はなんとも男らしい。指と指を擦り、しばし開放感を味わうかのように動かす。

    まるで目が離せない。
    血管の浮いた手の甲。広い肩。
    重ねたときには覆い尽くされてしまった。己の手も、身体も、なにもかも。

    しゅる、と自ら帯を解く僅かな音にも、半兵衛はうっとりと耳を澄ます。
    誰に対しても、小さな居住まいにすらこの男は隙を見せない。ついこないだまでは、そうだった。

    長い指が、後頭部で髪を纏めていた紐を解いて、前髪がばらりと散った。鋭い目元がほんの少しだけ緩む。彼が私的な時間へと己を切り替えたその瞬間たるや、半兵衛には垂涎ものであり。

    (…うわぁ、やらしい。)



    纏わりつく無遠慮な視線に、ふぅ、と、息をついて手の主は、冷たい目でついにこちらを向いた。

    「何か面白いか。」
    「えー?別にー?」
    「では何をそんなににやついている…。」

    そりゃ、普段そんだけもったいぶって肌隠してるんだから、見えたら嬉しいに決まってる。
    すきなひとだもの。
    なんだって俺は知っていたい。
    本人が意識していないことも、知らないことだって。

    夜着に着替え終えた官兵衛が、同じく夜着に着替えた半兵衛のそばに膝をついた。彼の瞳に映る、行燈の灯が揺らめく。


    「官兵衛殿って、さあ。」
    首に両腕をからませ抱き寄せると、前髪同士が触れた。背中に回ってきた大きな手のひらが熱い。満足げな半兵衛は、襟口からそっと手を忍ばせ官兵衛の首筋の一点へ触れ、呟いた。



    「…首にほくろ、あるよねえ?」

    半兵衛が目を瞑ると、夜の闇がその唇を覆った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator