気まずい美味しい 次の予定があって助かった。本当に。俺たちは無言でパンを買ってから帰宅し、言葉少なに打ち合わせをする。夜、潜入の下見はこの上なくスムーズに進んだ。黒く細いチェズレイのシルエットを俺は盗み見る。ひらひらと揺れるリボンを目で追いかけた。猫なら飛びついていただろう。ため息を吐いて俺は天井裏に飛び上がる。
「やらかしたかねえ」
一人呟いて、ルートを確保。チェズレイもパスワードを手に入れたようで、タブレットに退出の信号が送られてきた。俺はするりと抜け出して、チェズレイを迎えに行く。暗がりでは、チェズレイの表情がわからない。けれど緊張した肩や、どこか上の空な気配はわかった。
怒ってるかな。俺はおどおどとチェズレイの後ろを歩く。二度目の帰宅をした瞬間、どっと疲れが出た。チェズレイは平気そうに、届いた二つの荷物を開封している。
2026