書きたいとこだけ そのろく 楽屋に二人きりになるその瞬間、ただ隣に座っているだけだった距離をそっと詰めた。ペンを持っていた手をいつも掴んでる腰へと回す。おれに気付いたこいつの身体がびくっと跳ねることも構わずに顔を寄せると、ぎゅっと目を瞑られた。
おれの顔が近付いたら、キスされるってもうわかっちゃってる。しかも恥ずかしいからなのか、ぐっと眉間に皺を寄せちゃってさ。可愛くって仕方がないから、二人になったらついキスを仕掛けてしまうんだ。
「ん……」
最初は軽く、でもすぐくっつけるだけじゃ足りなくなって唇の表面を舌でなぞれば、そっと口が開かれる。中に舌を差し入れると閉じたままのまつ毛が震えるのがこいつの癖。それを見るのも好きだから、おれはいつもキスする時に目を開けてる。舌で気持ちいいところをなぞるたびに、ふるふる震えるまつ毛を見るのがたまんない。それと真っ赤に染まった耳と頬も、おれとのキスで変わっていくのがぞくぞくする。
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