未完フォドラの戦火が途絶えてから、何度も同じ夢をみるようになった。
『師』
彼女達と過ごした日々。
『さようなら、師』
彼女達と道を違えた日。
『貴方の手で…』
彼女の命を、この手で断ったあの時。
縋るような、拒むような瞳と、戦で乱れた白髪を今も夢にみる。
「…ス、ベレス」
「!」
「魘されていましたよ」
暗い部屋の中、慣れない目で声の主を探す。
「レア…」
頬に触れた温もりを辿り、その先の愛しい人を抱き締める。少し驚いた様子の彼女はそっと私の頭を撫でながら子供をあやす様に語りかけた。
「悪い夢を見ていたのですか?」
「悪い夢…」
じく、と身体中に鈍い痛みが走る。
伴侶の優しい声に頷きたくなる。しかし、それを拒もうとする自分もいた。
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