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    Inori

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    Inori

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    logh ルツワー

    #logh
    #ルツワー
    rooter

    カレイドスコープ 穏やかな人柄の滲む面差しに、初めて口付けを交わした時のぎこちなさ。同性相手は未経験だと期待しなかったかと言えば嘘になる。
     壁に背を預けたルッツは眼下の光景をはっきりと視界に捉えながら、果たしてこれは夢か現のどちらだろうと首を捻った。強い力で自身を壁際へ追いやった赤銅色の恋人。唇を重ね鋭い眼差しで一瞥したかと思えば、膝を着いて慣れた手付きでルッツのスラックスからベルトを抜き去る。そのまま流れるようにフロントホックを外し、ファスナーを咥えてゆっくり引き下ろした。

    「ッ、ワーレン……」

     寛げた前立てから覗く下着へ寄せられる顔。布地の下で少しずつ熱を持ち始めたものを、ワーレンは唇で柔らかく食んだ。下着越しにかかる湿っぽい吐息に思わず喉の奥から声が漏れる。

    「おい、待ってくれワーレン!」
    「……卿は俺のことを初心だと期待していたのかもしれないが、」

     ちゅっと軽い音を立てながら施される口付け。布の上を這う灼熱の舌と、不意に与えられる甘噛みすら心地好い。淫蕩さを振り撒くワーレンの鼻先で、彼に弄ばれる自身が痛いほど張り詰め昂っているのが分かった。
     待てばかりを繰り返すルッツに構わず、赤い舌先が下着を濡らして染みを作る。

    「卿が思うほど、俺は清くはないんだ」

     金褐色の狭間で移ろいゆく藤色を見据える、鳶の視線が挑発的に輝く。いっそ剛毅とも言える笑みはルッツの下腹で燻る劣情の火を強かに煽った。
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