tir 'ir nor「おう、お疲れ!」
気がついたら目の前には、ラインがいた。
かつての姿であったが、見たことのない服を着ている。
シュルクはあまりにも唐突な展開についていけず、立ちすくんだままでいる。
「どうした?」
足が低く布団をかぶっているテーブルに座っていたラインは、床へ手を当てて立ち上がろうとした時。
「……それって部屋着?」
ようやく出た言葉は、自分でも笑ってしまいそうなほど「あの頃」と変わっていなかった。
「そうだぜ! 緊急で呼び出される事もねェから、仕事が終わったら朝までゆっくりできるし」
ラインの返答も、時間の流れをまったく感じさせなかった。
「最初は慣れなくて 脱ぎそうになったけどな」
同じ街で暮らしていた時に何度も見たその笑顔は、とても久しいものだった。
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