「ほら、チェックメイト」
ポールは小さく笑みを浮かべながら、左手に持ったルークの駒を相手のキングの前に置いた。
「……えっと」
「おいおいアルプ、こんな初手で詰みか?ここまで弱いヤツは初めてだ」
「だ……黙れ!お前こそ何かイカサマでもしたんじゃないだろうな」
「往生際が悪いぞ。もう詰んでんだから素直に認めちまえよ」
「ぐっ……コロス」
ポールに煽られたアルプはムキになって駒を動かそうと手を伸ばした。
しかし、どこにも逃げられないと悟るとピタリと動きが止まる。
なぜなら左にはクイーン、斜め前にはビショップ、真下にはボーンが待ち構えている。
「……少し、待ってくれ」
「俺より年上なのにボロクソに負けたのがそんなに悔しいのか?残念だけど俺とお前じゃ天と地ほどの差があるんだよ」
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