あなたのために魏無羨は目を見張った。
なんと琴を練習するために設けられた部屋で、藍思追と藍景儀が堂々と天子笑を膝に乗せ「飲むの楽しみだな」「ふふ、そうだね」などと談笑しているのだ。
魏無羨を見つけた藍景儀が手を振って呼びかける。
「魏先輩!先輩も一緒にどうですか?」
酒の席を断るはずのない酒豪の彼は目をぱちくりさせ、左右に誰もいない事を確かめて部屋に入る。
「お前ら…いいのか?」
視線は酒壺に釘付けだ。
「藍先生の許可はもらってるから大丈夫なんだ」
藍啓仁の頭がおかしくなったのか、いや、正常になったのだろうかと魏無羨は考える。
「コレにはワケがあるんです」
藍思追が事情を話した。
20歳を超えた藍景儀と藍思追は所用で沢蕪君の付き添いとして清談会への出席する機会が多くなっている。そして同時に蘭陵金氏の老人達に無理やり酒を勧められる機会も多くなった。酒を断ると、酔っぱらった彼らは問答無用で剣を抜いてくる事があるのだ。
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