『夏空とストロベリー』「あっっっつ……」
雲ひとつない青空に輝く太陽が容赦なく地上を照りつけていた。初夏らしからぬ熱気を恨めしく思いながら、顎を伝う汗を無造作に拭う。
次の現場までそんなに離れていないからとらしくもなく徒歩移動を選択した自分が間違っていた。まさか今日がこんな季節外れの真夏日になろうとは。
道すがら拾おうかと提案してくれたアカネの誘いを断ったことを今更ながらに後悔する。今からでもいいから迎えに来てほしい。
まったくまだ五月も半ばだというのにこの暑さ、盛夏を迎えたら一体どうなってしまうのだろう。陽光と熱風で溶けてしまうんじゃないのかと一抹の不安が頭を過ぎる。そう思いながら毎年なんだかんだ乗り越えられているからいらぬ心配には違いないのだろうが……そうは言ってもこの気温の高さ、流石に参ってしまう。
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