おこづかい「商店へ買い物に行こうと思うのだが、お前も共にどうだ」
いつもは時間が掛かりすぎるからと一人で買い物に行く鍾離が、今日は何故か魈を誘いに望舒旅館へと来ていた。
「時間は問題ありませんが、我はモラの持ち合わせもなければ、欲しいと思っているものもありません。それでも良ければ……になりますが」
「俺とて特に欲しいものがある訳ではない。ブラブラと店を回り、心を惹かれた物を買って帰る。言わば無駄遣いの散歩だ」
「無駄遣い……」
「ちなみにモラの心配はしなくていい。俺は今日お前に小遣いを渡そうと、お前の分のモラも持ってきている」
「小遣い……?」
なんと返せば良いかわからず、鍾離の言う単語を復唱することしか出来なくなっている。今の鍾離の言葉を要約するならば、鍾離からわざわざモラを貰って、無駄遣いの散歩をするということだ。
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