Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    てきおみ

    自分用 ガチで絵が下手 見た人は目が潰れる 恥ずかしいからあんま見ないで……(切実)

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💒 ♂ ⚔ ❄
    POIPOI 36

    てきおみ

    ☆quiet follow

    SF創作 漫画にする小説以下設定以上

    第1話「廃校の幽霊」廃校の幽霊の噂

    碇執の通っている高校には現校舎と隣接する旧校舎がある。旧校舎なだけあって結構ボロボロでガタが来ていて危険な為、一般的には立ち入り禁止となっているし気味悪がって誰も近付こうとしない。その噂によると3階の通路突き当たりの厳重に鎖で固定された使用禁止の旧理科準備室がありその理科準備室と旧校舎が繋がっていて深夜0時になると足音と不気味な男の笑い声が聞こえてくるとのこと。恐らく旧校舎の幽霊がその時間になると理科準備室を通じて現校舎に乗り込んで来て人に恐怖を植え付けているらしい。目撃者によると扉の窓は白い紙で内側から隠されているがランプの明かりにより人影が浮かび上がり、その影がウネウネ動いていたためおおよそ人間では無い怪異だと恐れきっていた。


    事故があって約1年入院した後登校した頃にはクラス内のグループが既に出来上がっており、孤立した状態での高校生活がスタートしてしまう。そんな碇執は廃校の幽霊の噂に対してそこまで興味は示しておらず何事もなく日常を過ごしていたが、ある日仲のいい副担に土下座で倉庫の整理を頼まれ、副担が整理整頓ができず職員室の机も書類もとっちらかってる惨状を察しやむを得ず了承して1人で片付けることになる。ようやく片付け終わる頃には日も暮れて夜が近づいていた。入院生活で体力が衰えていた碇は闇に飲まれ細くなった空の夕日を最後にそのまま倉庫の床で眠りについてしまう。

    碇執が目を覚ましたら時計の針は丁度0時を指していた。不味い…施錠されているかもしれない。と慌てて1階に降りようと階段を駆け下りていたら背後から声に呼び止められる。
    「そっちじゃない、出口はこっちだ」
    と。気味が悪くて冷や汗垂らしながら無視し足を早める。そうしたらまた脳内に直接語りかけるような声。

    「無視とは命知らずだね。言い方を変えようか……そっちは危ないから黙ってUターンして3階の突き当たりの理科準備室に逃げておいで」

    徐々に不気味さが薄れ落ち着いた大人の男性の声が聞こえる。何故か信憑性を感じ大人しく指示に従い逆走し、鎖が解けた理科準備室に駆け込む。その部屋は溢れかえるほどの書類の山アルコールランプで作られた丸底フラスコのコーヒー、床にはクシャクシャに捨てられた走り書きのメモの山。その中心に校内全体に設置された隠しカメラの映像を確認できるモニターに背を向けこちらを見て不気味な笑みを浮かべる茶髪を後ろで雑に束ねた眼鏡の白衣を着た男が鎮座していた。
    「ようこそ俺のアビスへ、歓迎するよ碇執くん?」
    「……あ〜、へへへ……どちら様でしょう?」
    そこで男は心底おかしそうにひとしきり笑った後に急にスン…と真顔になりブツブツ独り言を言いながら書類の山を崩し始める。
    「お〜い、オニーサーン!ぜんっぜん状況が読めないんだけど!帰っていいってこと?」
    その声を聞いた男は書類の雪崩を引き起こした先に束ねてある数枚の書類を見つけ出し、それらをバインダーに挟みながらゆっくりこちらに向き直る。
    「クク……待たせたね。状況説明は後だ。先に俺のこれからする質問に答えてもらおう」
    「ハァ!?自分勝手にも程があるだろ!?俺早く帰りたい!」
    「安心しろ手短に済ましてやる。まず最初に"特別な能力"は使えるか?」
    「(く〜〜〜〜〜コイツ、重度の厨二病おじさんかよ!)あーもうなんだよそれ!使えねえよ!」
    「最近夢見はどうだ?」
    「え?……夢は〜……そういや一切見ないな。見たとしても忘れてるんだと思う」
    「……ほう?それはいつから?」
    「1年前から?」
    「……1年前に何があった?」
    「普通の交通事故だよ。医者はその事故で頭を打って断片的に記憶を失ってるらしいって話。確かに俺は高校入学した以前の自分が何をしてここまで生きていたのかって記憶が全くないんだ……。でもそれ以外のことは覚えてるから日常生活に支障はないんだ」
    「……」
    そこでまた目の前の男は熟考し始めた。
    「お〜〜〜いオニーサン」
    「はぁ……恐れ入った……お手上げだよ執。」
    「え!?何が!?てか最初から思ったけどなんで俺の名前知ってんの!?俺たち初対面だよね?」
    「そうじゃないって言ったら?」
    「……は、もしかして記憶失う前に合ったことあったか?すまねえ……!本当にすまねえ!」
    「クククク、いいやそれは後で。君のさっきの質問に答えようか、今がどんな状況なのかを説明しろ、だったっけ」
    「言ってない言ってない」
    「君は後1分以内にこの部屋に訪れる覆面の男に殺される。」
    「は、?」
    「あと30秒」
    「なっ……!?う、嘘だろ!?なぁ!」
    怯えきって尻もちをつき扉から遠ざかり室内中央デスクの下まで足を覚束せながら逃げるそれを尻目に懐から年季の入った懐中時計を取り出し時計の針を眺めながら男はカウントダウンを始める。
    「10、9、8……」
    「なぁ……さ、流石に冗談だよな?」
    廊下の方から足音が近づいてくる気配がする
    「ッ……!?は、マジかよ……オイ!聞いてんのか!?」
    「5、4、3……」
    足音が扉1枚隔てた目の前まで到達し…
    「2、1……伏せろ、執」
    咄嗟に執は頭を抱え床にへばりついた刹那、扉が横に真っ二つに分かれ上層だけが床に落ちる。下層の扉を煩わしそうに蹴り倒し、目の前には黒づくめの覆面の男。口元だけが開いており歯を見せ厭らしくにやける。よくよく見ると歯がギザギザでおおよそ人間とは形状が異なる風貌をしている。両手には腕の長さはある大振りのククリナイフを持っている。あいつは一体何者なのだろうか?一方で白衣の男は落ち着いた様子で拍手をしながら笑顔で覆面に話しかける。
    「お見事。時間通りの到着ご苦労様。君が来てくれなかったら俺は大恥をかいていたところだった」
    「ア〜〜?誰だオメエ。オメエの情報は主サンから聞いてねえぞ?そこの俺っちのエモノとまとめてコロがしていいってコトか〜?」
    「おっと、」
    言葉を言い切る前に斬りかかってくる覆面。予測していたかのように横に流すように刃を躱していく白衣男。周りの実験器具を倒しながら奥の方に追いやられていく。どうやら奴は決め手に欠けるらしい。それもそうだ、相手は明らかに化け物に近しい存在、それに対し白衣男はどこからどう見ても生身の人間。彼にどうして状況を打破する術があるというのか。
    「オメエサン、躱すのだけはベテランの域だが……ケヒヒヒヒ…いつまで持つことやら」
    「ククク……"時間稼ぎをされている"っていう考えには至らないのか?」
    「ア〜〜?」
    ザクッ
    ナイフが壁に突き刺さる。壁に白衣男の背中がつく。どうやら彼は追い詰められてしまったみたいだ。
    突如先程のように脳内に直接語りかけてくる声が聞こえる。
    「執、よく聞け。俺は戦闘はからっきしでね。君が寝そべっていたデスクの下に錠剤が入った瓶があるだろう?」
    ふと頭を上げデスクの周りを見渡す。そしたら小さな瓶が転がっている。透明の瓶の中身が赤い錠剤で埋め尽くされてるのを確認する。
    「その中身を全部飲め。全部じゃなくてもなるべく多くの量を摂取しなさい。噛み砕いてもいい無味無臭だ。とにかく体内に取り込め」

    何言ってんだ!?そんなことをしてお前と俺は助かるのかよ!?意味がわからねえ!大体お前のことも信用した訳じゃないのに……俺に何ができるって言うんだ
    「……できるさ、執なら。なんだってできる。そう信じ込めばいい。俺が信用出来なくても今は己の可能性を信じろ。俺は"見てきた"から解る。だから助けてくれ、俺のヒーロー。」
    ……彼の言ってることが何一つ理解できなかった。でもどこか懐かしさを感じる響き…この感覚は初めてでは無い。そんな気がした。
    碇執は1つ深呼吸をする。その後瓶の中身を全部口の中に含む。バリバリ噛み砕きながら唾液だけで喉に流し込んでいく。瞬間、走馬灯のように脳内が今日の出来事を強制的に振り替えり初め、最初の呼びかけで振り返らず真っ直ぐ出口へ向かう己の姿。案の定表玄関は施錠がされておりどんなに無理矢理開けようとしても開かない。おかしい、内側からなら開くはずなのに何故だろう。そう思って1階の教室の窓からなら出れるかと踵を返そうと後ろを振り向いた途端腹から生暖かい感触。手を伸ばすとべっとりと鮮血がこびりついている。鮮やかな赤が手から腹へと糸を引いてる。それを確認した瞬間激しい痛みが身体中を駆け巡る。
    「ああああああああああああああああああひぐう、ぐうううううう!!ガハッ……ッ!」
    ドサッ…
    痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い!!!!!!!!!
    体内の血液が腹から溢れ出、熱が全部外に逃げていく感覚。体温が奪われ猛烈な寒気に襲われ着実に死に近づいていく。
    それらを脳内で鮮明に強制再生させられる。なんなんだこの感覚は……咄嗟に自分の腹をぺたぺた触り確かめる。無傷。痛みも出血もない。ってあれ?
    周りを見渡すと理科準備室。には変わりないがデスクの下に己の体が倒れている。それをちょっと真上から見下す自分。どっちが本当の自分?俗に言う"幽体離脱"。ほっぺを引っ張る。痛覚はある。よって自分は幽霊ではない。じゃあこの倒れてる方は何なのだろうか?というかこんな呑気に突っ立っていていい状況だっただろうか?ハッとして準備室の奥側、理科室の方に視線をやる。浅い切り傷を体のあちこちに作った血で汚れた白衣を着た男とかなり苛立った様子の覆面男が肩で息をしながら一定の距離を保ち睨み合っていた。そんな時に脳内に鈴を転がしたような声が聞こえる
    『やっとこちら側に来てくれたんだね、嬉しいよ。さぁ契約をかわそうか』

    少し前に遡る
    「ケヒヒヒヒ……!そんなナメた口聞いといてもう俺っちトドメ刺せちゃうんだけどォ?」
    「あ、エモノが逃げたよ」
    「ナッッッッニィ!?!?」
    「フッ……嘘だよ」
    咄嗟に体制を低くする白衣男。片足を伸ばし覆面男の足に引っかけ転ばす事に成功する。畳み掛けるように覆面男の覆面に懐から出した茶色い液体の入った瓶の中身をぶちまける。転ばされた上に視界が暗転する覆面男、悪足掻きにナイフをクロスし周囲に斬撃を食らわす。それすら予測してましたと言わんばかりに軽やかに躱す白衣男。
    「オッッッッエェ……なんじゃこりゃア?クソマジィ………」
    「それ、粘膜に触れると猛烈な痒みを引き起こす劇薬だよ」
    「アガガガガガガガガガ!?!?がゆいっがついがゆいがゆいいいいい!!!オメエえええええよぐもおおおおお……!!!」
    「さて、そろそろかな……?」
    デスクのある方に振り返った瞬間覆面男が白衣男に向かって乱雑に斬撃を繰りなす
    「ごろじでやるうううううううう殺すッ殺す殺す殺す殺す殺す殺すぅ〜〜〜〜!!」
    覆面男がめちゃくちゃに刃を振り回す。流石の対面の男は躱しきれず全身に細かい切り傷を作っていく。
    (予定より10秒遅れてる。早くしてくれ、執。)
    その想いが通じたのか急に覆面男が大人しくなる。顔を上げれば目の前には赤いマントをなびかせた金髪を足先まで伸ばした少年。その少年が覆面男の首根っこを掴んで天に掲げている。
    「五月蝿い、黙ってくれ。」
    そう吐き捨て右横の収納棚目掛けて投げ飛ばす。
    「ウギギ……オ、オメエ……あの一瞬で」
    「俺を狙ってたんだっけか?目的はなんだ?」
    ゆっくりと白と赤の装いの長い金髪の少年が確かな迫力をまとい近ずいてくる。
    「ひ、ひぃいいい!!聞いてねえ!俺っちはただの殺し屋の端くれ!主さんにはオメエを殺せとしか言われてねえ!」
    「主は誰だ?」
    「そ、それはァ……」
    右手に金に輝く長い槍のようなものが生成される。それを首に突き立てる。
    「ひいいいいいいいいいい!?!?名前は知らん、コードネームも聞いてねえ!!でも見た目は覚えてるっ」
    「どんなツラしてた?」
    「えっとぉ…えっとぉ……あれ?えっ……?」
    「?」
    肩を後ろから掴まれる。
    「執、もういい。ていうかお前執じゃないだろ。やめろ。もう解放しろ」
    「……」
    黙って覆面男を白衣男から渡された拘束具で拘束する。終えたのと同時に碇執は後ろに倒れ込む。それを後ろから肩を抑え支える。執の姿が元の制服姿に戻る。
    「お疲れ様、執。」
    肩を掴んでいた手に力を込める。
    「おかえり……執」


    後日談

    『俺はとある能力者集団率いる組織に所属していて、調査としてこの理科準備室に数週間前から張り込んでいたんだ。そしてどうやらそのターゲットが君を狙っていたみたいでね。なんでわかったかって?前にも言ったけど"見てきた"からね。俺は過去と未来を行き来することが出来る能力者なんだ。じゃあ俺は過去と未来どっちから来たのか……クックック……"未来から来た"が正しい』

    廃校の幽霊の正体は結城影………この白衣の男だったのである。
    この日を境に、狂った歯車の悲鳴が孤独に鳴り響くことは無くなるといいな
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works