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    ほむら

    @rietokota

    SD右花メインの小説置き場です。
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    ほむら

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    以前Twitterにあげた流花軸で書いたお話。
    湘北バスケ部1年組が3年になって同じ班で修学旅行に行くお話です。流川が花道にベッタリです。途中出てくる石井の話は「おまえは誰にも渡さねえ!」
    #poipiku https://poipiku.com/6787534/8819183.html
    と繋がっています。もしご興味があれば呼んでいただけると嬉しいです。

    #流花
    flowering
    #湘北バスケ部

    湘北バスケ部修学旅行記33日目。
    今日は朝から弥山に登る。
    途中までロープウェイで行き、そこから徒歩で頂上を目指すらしい。
    頂上付近には巨石群があるらしく、昨夜旅行のしおりの写真を見て4人は胸が躍った。
    初日桜木軍団と激しめ枕投げ対決を行ったせいで廊下に正座させられたバスケ部御一行、昨夜は早めに布団に入りゴロゴロしながら他愛もない話に花を咲かせた。
    流川は相変わらず桜木にくっついて寝ていて話には加わっていない。
    ほんとバスケ部5人が同じクラスで良かったと思う石井であった。
    だってこんな流川を他の人に見せられないし、オレ達の間柄だからこそ流川も自然体でいられるんだよな、なんて思ったらちょっと涙が出そうになった。

    宿泊先からロープウェイまではクラスごとに移動し、ロープウェイを降りた後からは自由行動となる。
    ロープウェイを降りるとまず目につくのは瀬戸内海の絶景。
    海風が心地良い。
    「わーすっごい!」
    桑田が目をキラキラさせながら声を上げる。
    「あ、みんなで写真撮ろうよ!」
    桑田がテキパキとクラスメイトに声をかけてシャッターを押してもらいバスケ部5人の写真を撮る。
    修学旅行前に気づいた。
    バスケ部での集合写真はたくさんあるのに同学年組で撮った写真は数えるしかなかった。
    「今回の修学旅行、5人でたくさん写真撮ろうよ」
    と桑田が提案した。
    そのおかげで修学旅行だけで結構な枚数の​集合写真を​撮ることができた。
    こういう提案をしてくれる桑田の存在は本当にありがたい。
    ロープウェイ乗り場の近くにあるマップを確認してから頂上まで向かう。
    頂上に行く道の途中にある弥山本堂に立ち寄り、弘法大師が灯したという霊火で沸かした霊水が飲める。
    健康にいいとか、願いが叶うとか、恋愛成就するとか、なんか色々な効能があるみたいだけどとにかく湘北バスケ部の願いは
    「「「「「IH優勝すっぞ!」」」」」
    願掛けをして5人で一気に飲み干す。
    山王戦の後桜木が怪我で入院した。
    その穴を埋めるためにも、またインターハイで同級生の活躍を目の当たりにしたことで桑田、石井、佐々岡は以前よりもっと練習量を増やし実力をつけてきた。
    その甲斐もあって2年に進級してからは試合にも出れるようになったしインターハイ予選でもいいところまでいくことができた。
    残念ながらインターハイ出場は叶わなかったが。
    その悔しさをバネにそこからさらに1年頑張って今年こそは!と5人で決意を固めていた。
    弥山本堂を出て頂上へ向かう道に戻り頂上を目指す。
    徐々に現れる巨石群。
    触ったりくぐったりしながら進むうちに頂上に到着。
    休憩もできる展望台に登り写真を撮ったり休憩したり。
    流川は疲れたのか花道の膝枕で寝てしまった。
    「お、おい、流川…これはマズイって」
    焦る桜木。
    観光客はともかく、同じ高校の生徒も多くいる場所。
    しかも流川は女子生徒の憧れの王子様ときてる。
    気まずい…気まずすぎる。
    当の本人は狸寝入り。
    「キツネのくせしてタヌキネイリなどしおって…」
    ツボったのかあまり感情を見せない流川の肩がフルフルと震えている。
    「笑ってんじゃねー!起きてんなら起きろ!」
    「ヤダ」
    「女子の視線がいてーんだよ…」
    「女子なんてカンケーねぇ。オレが好きなのはおまえ。おまえもオレだけ見てりゃいい」
    花道の手を取って自分の頭に乗せる。
    「!」
    「おまえの手落ち着く…」
    そういってすぐに寝息を立てる。
    そんなこと言われたらお前の頭から手動かせなくなるだろーがっ!
    しょうがなく柔らかい流川の髪を撫でる。
    相変わらずキレイな顔。
    こんなキレイな顔してスタイルもいいヤツが何でオレなんかのこと好きなんだろう…と流川の顔をマジマジと見るたび毎回不思議に思う。
    10分くらいそうしていると3人が戻ってきた。
    「『流川くんが!』て女子が騒いでたから何かと思ったらこういうことか」
    アハハと桑田。
    「こいつがどかねーからよ…」
    しょうがなく付き合ってるだけだっ!と恥ずかしそうに言う桜木。
    「そろそろお腹空かない?ご飯行こう」寝ぼけ眼の流川を連れて弥山を下りる。

    遅めのお昼を食べ終わる頃にはもう3時をまわっていた。
    お店を出るとちょうど干潮時。
    朝見た時は海の中にあった鳥居も今は陸続きにある。
    大鳥居まで行ってみようということで5人で海から現れた地面を歩いて行く。
    「わー、真下から見るとやっぱデカいな!」
    興奮気味に石井がいう。
    もちろんここでも5人で写真撮影。
    5人の修学旅行の思い出が桑田のカメラに次々と収められていく。
    その後は集合時間までお土産を見たり、歩き食いしたりと楽しく過ごした。

    「明日で最終日か…」
    布団の上でゴロゴロしながら残念そうに「はぁー」と大きなため息をつく石井。
    明日は午前中厳島神社へ参拝したらそのまま新幹線で横浜へ戻る。
    「なんかあっという間だったよな」
    「でも楽しかったね!」
    「5人で回れたのが良かった」
    口々に修学旅行を振り返り想いに耽る。
    「中学の修学旅行ってみんな京都奈良でしょ?」
    と石井。
    この5人はみんな公立出身なので日程は違えど行き先は同じ。
    「ルカワ、おめー友達いたんかよ?」
    桜木が聞く。
    失礼だがここにいる4人がずっと気になっていたこと。
    確かに流川はモテる。
    でも自分から関係を築くのはあまり得意ではない、というよりむしろバスケに関係のないことは無駄だと考えている節さえあるので不必要なものに時間を割くことはしなかっただろう。
    「よくわかんねーけど、こーゆーのはなかった」
    「じゃー班とかどうしたの?」
    と桑田。
    「おぼえてねー。移動中はずっと寝てたし、部屋に戻ってからもずっと寝てたし…あんま中学の修学旅行の記憶ねぇ…」
    だから今回の修学旅行はおまえらと一緒で楽しかった、と続けた。
    「そっか」
    石井が泣き出しそうな顔でうんうん頷いている。
    石井以外の3人も流川がそう思ってくれていることに内心とても嬉しかった。
    「そういえばさ…」
    と桑田。
    「今まで聞くに聞けなかったんだけどこの際聞く!桜木と流川の馴れ初めって何だったの?」
    「ナ、ナ、ナ、ナレソメ!?!?!?」
    アタフタする桜木。
    「この際教えてよ、すごく気になってたんだよね」
    「オレがコイツ襲った」
    「なんて!?」
    桑田が驚いて目を見開く。
    佐々岡もびっくりした顔をしているが、石井は1人下を向いている。
    「1年ときの翔陽との練習試合の後」
    流川のその言葉に石井がビクッとなる。
    「こいつが藤真とイチャついてたから」
    「あー、あの時か」
    桑田はそう言った後桜木を見ると桜木は顔を真っ赤にして俯いていた。
    既にその頃スタメンだった桜木と流川。
    桜木は持ち前のコミュ力で既に翔陽のメンバーからも可愛がられていた。
    あの時も確か1人でズカズカと翔陽のところに行ってその輪に加わって楽しそうにしてたっけ。
    あ、そういえば藤真さん桜木の頭撫でてたな…
    それを見て同じ1年だった自分たちは単純に「スゴイな」って感心したことを思い出した。
    「コイツすぐ男引っ掛けてくるから」
    ムスッとした顔の流川。
    「ひ、ひ、引っ掛けてねーだろっ!」
    桑田はそんな2人を見て微笑む。
    「流川はさ、桜木の事になると感情が露わになるよね。オレでもわかる」
    その後桜木と流川は付き合い始めて、そんな流川から桑田はたまに相談を受けていた。
    以前「何でオレに相談したの?」て聞いたら「なんか詳しそうだから」って言われた。
    オレからしたらその頃の流川は孤高のイメージだったから、そんな流川から相談を受けるのは正直嬉しかった。
    流川はそれまでの15年間バスケのことしか考えてこなかったから桜木に対するその感情が何なのか理解できないと言っていた。
    「桜木見るとなんかこの辺が苦しい」と心臓押さえたり、「あいつがセンパイ達と仲良くしてるとなんかイライラする」とか。
    こんなに感情が動くのは今までバスケをやってる時だけだったし、バスケに対する感情の動きの理由は簡単に理解できた。でも「桜木の事考えるとわけわかんなくなる」と言っていたっけ。
    「三井センパイに言われて初めて花のこと好きだったんだって気づいた」
    「う、うん…」
    桜木への自分の気持ちを素直に話す流川に佐々岡が驚きながら相槌を打つ。
    「あ、あ、あ、あのっ!」
    今まで俯いていた石井が声を上げる。
    みんなの視線が石井に向く。
    「話したほうがいいのか話さないほうがいいのかずっと悩んでたんだけど…やっぱ話したほうがいいような気がして…」
    「どうした?」
    桜木が聞く。
    「あの時…翔陽との練習試合の後、オレ…トイレにいた…」
    「!?」
    「い、一番端っこの個室に入ってた…」
    石井と桜木が同時に奇声を発し枕に顔を埋め恥ずかしさのあまり震えている。
    「え…てことは石井2人の…その、諸々を…?」
    桑田が聞くとうんうん、と枕に顔を埋めたまま頷く石井。
    そして見えるところ全てを真っ赤にして枕から顔を上げられない桜木と、そんな桜木の頭を撫でる流川。
    「聞かれたのが石井で良かったな」
    的外れな流川の慰めに
    「おめーがいきなりあんなことすっからだろーがっ!」
    ガバッ!と枕から顔を上げ流川にくってかかる桜木。
    「でもあれはおめーが藤真と仲良くしてオレを煽ったのがわりー」
    「だーかーら!煽ってねー!」
    湘北バスケ部恒例の痴話喧嘩。
    「ほんと2人って仲良いよね」
    笑いながらいう桑田。

    「ところでさ、」
    と佐々岡。
    「高校卒業後みんなどうするの?」
    湘北でバスケできるのもどんなに長くても残り1年もない。
    「オレは大学に行ってもバスケ続けたいな」
    と桑田。
    1年の時に比べ身長が伸びたとはいえ、バスケ選手としてはそこまで高くはない。
    身長の近い宮城からPGのいろはを学び、宮城までとはいかないが県内でもそこそこのPGまでのぼりつめた。
    もちろん石井も佐々岡も同じ気持ち。
    「実はさ、これオレと石井、佐々岡だけの秘密だったんだけど…」
    と桑田が話し出した。
    陵南との練習試合の時から湘北のエースとして活躍している流川と、高校からバスケを始めたのにその後すぐ行われた陵南戦で驚くほどの成績を収めた桜木を当時は誇らしく思っていた。
    「でもIH後大黒柱の赤木さんが抜けて今後の湘北はどうなるんだろうってオレ達すごく不安になったんだ」
    どれだけ努力したところで自分たちの力じゃ流川や桜木の手助けにもならない。
    三井さんは冬の選抜まで残ってくれるけどその後は?って考えたら正直怖くなった、と桑田。
    「そんな時にそんなオレ達の気持ちを知ってか知らずか木暮さんが話してくれたんだ」
    木暮も赤木という才能あるバスケットマンと中学から一緒にバスケをやってきた。
    自分は赤木のような才能はないのはわかっていたし、期待していた三井は入部してすぐにケガからあんなことになるし、先輩達は全国なんて全然興味なし。
    たまたま2人で観に行った公式戦で翔陽の藤真と海南の牧が同級生で、その強豪校で1年生なのに既に試合に出てすごいプレーをしてるのを目の当たりにした。
    「赤城は衝撃だったと思うよ。同級生にこんな選手がいるのかって。いつか肩を並べたいって思っていたんじゃないかな」
    でもチームメイトに恵まれずその機会は訪れなかった。
    「オレにもっと才能があれば、もっとバスケが上手ければって何回も思ったけどどんなに努力してもダメだった。だから下手なりに赤木を支えようと思ったんだ」
    ちょっと悲しそうな顔をする木暮。
    「でもおまえ達はまだ1年で、入部した時10人くらいいた部員の中であのキツい練習に耐えて残った3人だろ」
    まだ努力次第でどう転ぶかわからないし、運が良いことに赤木、三井、宮城、流川、桜木という4人の才能あるバスケットマンのプレーや努力を間近で見てる。
    盗めるものは盗め。
    「あと一番言えるのは『努力できるのも才能』ってことかな。あいつら4人は才能あるのに誰よりも練習量多いだろ。オレはそれができなかった」
    その木暮の一言は3人に火をつけた。
    「あの時『おまえ達はできるか?』って言われてるみたいな気がして。こんなクヨクヨしてる暇があるなら練習しなくちゃって思えたんだ」
    と桑田。
    「そうだな、あの言葉でオレ達もここまで成長できた。だから今すごくバスケをやってる、バスケが楽しいって思えるんだ。だから大学でもやりたい」
    と石井。続けて
    「桜木と流川はどうするの?やっぱり宮城さんみたいにアメリカ?」
    「オレは絶対アメリカに行きたい」
    と流川。
    そのために今アメリカ留学している宮城に色々相談している。
    「桜木は?」
    「もちろん卒業してもバスケはやる、天才だからな!」
    「だよね」
    ふふっと笑いながら石井。
    「でもアメリカに行くかはまだ悩んでる…」
    流川が驚いた顔をする。
    「おまえオレと一緒にアメリカ来ねーのかよ?」
    「正直今の実力ではキビシーと思ってる」
    いつもものすごい自信に満ちている桜木から思いもよらない言葉が出てきて息を呑む4人。
    「今アメリカにいるリョーちんとエージ、これから行く流川の3人と自分の実力を比べたらやっぱり練習量と経験値がまだ足りてねー気がしてよ。まだアメリカに行けるレベルじゃねーのかなって」
    桜木はそのことを安西先生にも相談しているようで
    「オヤジもあと数年、日本でプレイしてからでも遅くないって言ってた」
    正直4人は驚いていた。
    バスケを始めた時の桜木からは考えられない言葉だったから。
    昔なら何にでも挑戦してそれを乗り越えて強くなるのが桜木だった。
    それがどれだけ無茶なことでも、だ。
    でも今目の前にいる桜木は冷静に自分の実力を判断し、どうしたら自分の夢を確実に掴むことができるかを冷静に判断している。
    「大人になったね、桜木」
    と桑田。
    「なんか卒業したくないね…」
    とまた泣きそうな石井。
    「でもどこかでバスケやってりゃまた一緒にバスケできるだろ!」
    と桜木。
    「あーバスケやりたくなってきた!」
    石井の一言で全員のバスケ魂に火がついた。
    とにかく今はインターハイ予選通過が目下の目標。
    それに向けて修学旅行後はみっちり練習するぞと心に思う5人なのであった。
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