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    ほむら

    @rietokota

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    ほむら

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    以前Twitterにあげていた花←洋←三のお話(第4話/最終話)です。⚠️19歳の飲酒表現があります⚠️
    長々と読んでいただきありがとうございました!

    #スラムダンク
    slamDunk
    #洋三
    theOcean

    惰性4Episode4

    5月21日。
    金曜日だったこともあり深津と松本が牧と藤真に声をかけて誕生日前夜祭を開いてくれた。
    藤真は残念ながら部活の関係で不参加だったが、牧は藤真から託されたという誕生日プレゼントを手にわざわざ部活後車で駆けつけてくれた。
    牧が着いた頃にはもうだいぶ酒も入ってて記憶もところどころ曖昧。
    深津と松本は出身地も関係しているのか、同じ量というよりはむしろオレより多く飲んでるはずなのに顔色ひとつ変わらない。
    「三井悪酔いしてるピョン」
    「最近ちょっと元気なかったからな」
    「牧は原因知ってるピョン?」
    「いや、何も知らん」
    「オレも直接聞いてみたんだけど大丈夫だの一点張りで」
    なんとなくオレ以外の3人がそんな会話をしていたのは聞こえていた。
    水戸との関係は誰にも話していない。
    牧には前にちょろっと名前は出していないけどそういう相手がいるということは何かの折りに話したような気もする。
    アルコールの作用で記憶が途切れ途切れ。
    しばらく会えないと言われた日から水戸からの連絡は激減した。
    今までは毎日連絡があったのに最後に連絡が来たのはもう1週間近くも前だ。
    誕生日の話は水戸にはしなかった、というよりできなかった。
    このまま意識を閉じれば自分の誕生日を孤独に過ごす虚しさから解放されるだろうか?


    5月22日は三井さんの誕生日。
    それを昨日花道から聞いた。
    三井さんには本当に世話になっている。
    花道の病室で三井さんから告白された日から、オレがツラい時はいつだって三井さんが傍にいてくれてオレの中にあるドス黒い塊を吐き出させてくれた。
    そんな三井さんの優しさに漬け込んで八つ当たりしたり、酷いこともたくさんしてきた。
    今まで一度だってオレから三井さんに対して好きだとかそういうことは言ったことがない。
    正直自分の三井さんに対する気持ちがどういった類のものなのかわからなかった。
    好きなのか、ただ執着しているだけなのか、
    身体は繋いでいても頑なにキスをさせてくれないのはオレのこんな中途半端な気持ちのせいだっていうのもなんとなくわかっている。
    でも今日セックスの最中三井さんが初めてオレ以外の誰かの存在を仄めかした。
    それが本当か嘘かなんてどうでもいい。
    だってオレ達は多分一般的な『恋人』という関係性ではないから。
    だから三井さんが誰とどう関係を持とうがオレがどうこう言うことはできないのに、その存在を仄めかされて自分でも驚く程嫉妬した。
    オレなしじゃ生きていけなくなればいいのにって独占欲が爆発した。
    今更ハッキリした。
    オレは三井さんが好きだ。
    今まで散々傷つけておいてほんと最低だ。
    例え三井さんにそういう相手がいたとしても三井さんの誕生日に自分の気持ちをしっかり伝えよう。

    三井さんの誕生日前日、今日もバイト。
    ここ数週間はバイトで忙しくて三井さんに全然連絡できなかった。
    帰宅すると同時に寝落ち、学校に行っても基本居眠りをしている。
    連絡をしようと携帯を取り出しても文章を打つ気力すらなかった。
    でも週末は両日とも休みをもらったし、この数週間はバイトをフルで入れたのでなかなかの収入になった。
    誕生日プレゼントも用意した。
    もらってくれるかはわからないけど。
    その前に会ってくれるかさえわからない。
    バイトが終わってから連絡を入れてみたものの返信は未だなし。
    どうしようか悩んだが、悩んでいる時間がもったいないので三井さん宅へ向かうことにした。
    部屋に着くと灯りはついていない。
    時間を確認すると既に11時を回っていた。
    今日は誕生日前日。
    もしかしたらその『誰か』と過ごしているのかもしれない。
    灯りはついていないが部屋にいる可能性は否定できないのでインターホンを何度か鳴らして中の気配を伺う。
    やはり留守のようだ。
    合鍵で部屋に入り電気をつける。
    室内に三井さんの荷物がないから多分学校から直接どこかに行っているのだろう。
    日付を超えた。
    三井さんの19回目の誕生日。
    「誕生日おめでとう」
    自分しかいない部屋で1人呟いた。
    一緒に日付を越したかったな、なんて。
    今まで自分のしてきたことを考えればなんて自己中心的な考えなんだろうと辟易とする。
    1時近くになった頃共用の廊下から音が聞こえた。
    「三井さん!?」
    玄関に向かうとガチャッ!と鍵の開く音。
    その先にいたのは

    「…牧さん?」

    なんで牧さんがここに?
    あまりの出来事に思考がストップした。
    三井さんが関係を持っている人ってまさか…!?
    嫌な想像が駆け巡る。
    「おい水戸、ぼーっとしてないで手伝ってくれ」
    その声にハッと我に返る。
    「あ、はい…」
    牧さんの肩にもたれかかるような姿の三井さん。
    「飲みすぎて全然起きないから車で送ってきた」
    牧さんより身長が高い三井さんだが、牧さんの方がガッチリしているのでそこまで大変そうには見えない。
    「中入っていいか?」
    「は、はい…」
    オレの部屋じゃないけど家人はそんな状態だから牧さんの入室許可はオレが出した。
    三井さんの靴を脱がせるのを手伝って、そのまま牧さんがベッドまで運んでくれた。
    三井さんをベッドに寝かせてからオレの方を向いて
    「まさか三井の言っていた相手がお前だったとはな」
    とちょっとびっくりしたように言う。
    牧さんが言うには三井さんは自分には好きな人がいてなんとなくそういう関係だが、そこに愛はない的な愚痴を零していたらしい。
    それを聞いて胸が痛くなる。
    「三井はおまえにベタ惚れだから」
    少し間を置いて
    「無関係なオレが口出しすることじゃないがコイツがさつに見えて結構繊細でな。三井の誕生日におまえがここにいるってことはそういうことだろ?」
    つまりそう、
    オレも三井さんが好きってこと。
    「三井のこと大切にしろよ。オレの大事な友人なんだ、また泣かせたら許さないからな」
    後は頼んだぞ
    そう言い残して牧さんは部屋を去った。

    喉の渇きを覚えて目を開けた。
    あ、れ…、オレの、へや…?
    定まらない焦点とガンガンする頭。
    確か深津と松本と飲んでて…牧?牧もいた気がする。
    でもここは明らかに自分の部屋。
    天井を見つめてしばしぼーっとしていると隣に感じる温もりに気づく。
    それを確かめるために横を向くと水戸がオレの腕に抱きつくように眠っていた。
    なんで水戸がここにいんだ?
    追いつかない思考。
    夢…?
    だって水戸が隣にいるはずがない。
    じゃあやっぱり夢か。
    寝顔の水戸をマジマジと見る。
    そういえば寝顔見たことなかったな。
    水戸はイケメンだと思う。
    でもこうやって髪を下ろしているとまだまだ幼い。
    正直年齢より幼く見える。
    「かわいい…」
    自然に笑みがこぼれる。
    いつもなら絶対触れない唇を指で押すとふにゃっと柔らかい感触。
    「みとぉ…すき」
    そういっていつもなら絶対に重ねない唇を重ねた。
    柔らかくて暖かい感触。
    夢の中でも気持ちいい。
    啄むようなキスを繰り返すと

    「今日はキスしてくれんの?」

    ふわっと優しい笑みを浮かべた水戸と視線が絡んだ。
    ん?
    なんだかいつもの夢より鮮明な気がする。
    それによくよく考えてみれば感触もリアル…
    ん?
    んんっ!?
    「おはよ」
    隣にいる水戸は紛れもなく本物で、その事実にようやく脳が追いつく。
    驚いて後ろにのけぞったせいで壁に思いっきり後頭部をぶつけた。
    「ってぇ…」
    「寝起きから何やってんのあんた」
    水戸が爆笑してる。
    てかなんでおまえが隣にいんだよ!?
    水戸から見たオレは多分頭の上に大きな?マークが浮いていたのだろう。
    昨日のことを1つ1つ説明してくれた。
    「牧さんが車で送ってくれたんだよ」
    あぁ、牧…ほんとに申し訳ないことをした。
    深津と松本にも後で謝罪の電話を入れておこう。
    「三井さん起きれる?何か飲む?」
    あぁ、そういえば喉が渇いていたんだった。
    うんと頷いてベッドから出る。
    冷たいペットボトルの水を喉に流し込むと意識もハッキリしてきた。
    「水戸…なんでここにいんの?」
    ちょっとため息をついてから
    「昨日三井さんに連絡したんだけど。一緒に三井さんの誕生日祝いたいって。未だ既読つかないけど」
    ちょっと落ち込んだように言う水戸。
    「マジかよっ!」
    携帯を探し回る。
    「テーブルの上」
    その姿を見ておかしそうに笑う。
    「…気づかなかった」
    「だろうね」
    「なんでオレの誕生日知ってんだよ…?」
    「先月花道から聞いた。三井さんにプレゼント渡したくてこの1ヶ月バイトばっかで。連絡もなかなかできなくてごめん」
    オレのため?
    なんでそんなこと…
    「なんでオレのために…」
    「三井さんには世話になってるしさ」
    それに、と続ける。
    「オレ三井さん好きだって気づいたんだ」
    「なっ…!?」
    思いがけない一言に驚いて携帯が床に落ちる。
    「三井さん優しいからさ、オレ単純に甘えてた。三井さんがオレのこと好きだっていうのも知ってたからそれに託けてわがままばっかだった。でもこの前他の男のこと仄めかされてかなり嫉妬した」
    あのセックスのときの…
    「三井さんと身体繋げてるとなんか安心できて。なんでだろって考えたら身体繋げている間だけは間違いなく三井さんはオレだけのもんだからだって気づいて」
    ちなみに水戸いわく花道への気持はけっこう早い段階でケジメがついていたらしい。
    「ケジメというよりは、今思うと多分そのくらいからオレ三井さんのこと好きだったんだと思う」
    だからさ、と付け加えて
    「今更だけどオレの恋人になって、三井さん」
    なにこれ?やっぱ夢?
    「…やっぱヤダ?それとも他にそういう人いんの?」
    水戸の顔が曇る。
    「嫌なわけねぇ!し、そんなやつもいねぇ…し」
    語尾は恥ずかしくてゴニョゴニョしてしまう。
    「じゃぁ付き合ってくれる?」
    「も、も、もちろん!」
    そういうと水戸が抱きついてきた。
    「ねぇ、じゃぁキスしてもいい?」
    見上げる水戸と視線が絡む。
    目を閉じるとちゅっと優しいキス。
    「このまま押し倒したいけど…お祝いが先。誕生日おめでとう」
    そういって渡されたプレゼント。
    「え、これ…」
    以前たまたま水戸と買い物してる時いいなと言った時計。
    「三井さん欲しがってたから」
    高校生が買うにはかなり高いもの。
    「このためにバイトしてくれたのかよ…?」
    「今までお世話になったし、それに三井さんの喜ぶ顔見たかった」
    その言葉に鼻の奥がツンとなる。
    「え、え?どうしたの?オレなんか変なこと言った!?」
    嬉しくて自然と涙が零れた。
    「や、嬉しくて…水戸から告られて一緒に誕生日過ごせるなんて思ってもいなかったから」
    「三井さんが告白してくれたのにずっと返事しないでごめんね。でもオレ本当に三井さんのこと好きだから…」
    あ、あとと付け加える。
    「オレかなり嫉妬深いからね」
    「あぁ、知ってる」
    2人で顔を見合わせて笑う。
    それから水戸が用意してくれたケーキを食べて、キスをしながら愛のあるセックス。
    水戸に優しく抱かれて身も心もトロトロにとかされた。
    本当に最高の誕生日。

    「三井さんてさ、激しい方が好きだと思ってた」
    「愛のあるセックスの方が好きに決まってんだろ…まぁたまには激しいのもいいけど」
    「あとこれ言ったら怒ると思って内緒にしてたんだけど、三井さんが寝てる間にオレ三井さんにけっこうキスしてたよ」
    「はっ!?」
    「やっと好きな時にキスできる」
    フフッと優しく笑った水戸に、オレから何度目かのキスをした。
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