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    moricocchi

    @moricocchi

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    moricocchi

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    🍯🎍ワンドロ
    第5回『喧嘩』『仲直りの方法』
    2022/11/12 22:00〜23:00
    『喧嘩』
    ※第2回『わがまま』と同じ世界線
    ※みっち不在
    ※🐉視点

    🍯🎍第5回『喧嘩』 「うっわ…………」
     思わず引いた。引いてしまった。引くだろ。引くわ。引く。
     俺が引くんじゃねぇよ。こいつと同じ格好だわ。それでも引いてしまったんだから仕方がない。
     はたから見れば俺もこう見られていたのだろうか。理性の効かない獣ほど厄介なものはねぇな。

     フーフーと荒い息をした三ツ谷がそこにいた。

     調子が悪りぃとか息を整えるだとかそういうのじゃない。獣だ。獣の息遣い。獲物を追い込み、その獲物を狩り、蹂躙する。三ツ谷の周囲は、こいつに挑んだのであろう本日の抗争相手が転がっていた。
     ひとりふたりではない。そこそこ大きいチームだったから、兵隊の数もそこそこいた。結構な数の人数が痛みを訴え、あるいは気を失っている。そのど真ん中にこいつはいた。
     そりゃこんな三ツ谷、千冬とタケミっちが見たら慌てて駆け込んでくるはずだわ。
     二人が慌てて駆け込んでくるものだからよっぽどやべぇ奴がいたのかと思えば、確かにそこにいた。一番やべぇのがそこにいた。
     流石に何発か大きいのはもらったのだろう。特攻服はボロボロ、額からも鼻からも血を垂れ流している。それでもこいつはただそこにいた。息を荒くして立っていた。いや語弊だ。ただそこに立っているだけではない。
    「三ツ谷」
     声をかける。反応はない。俺は溜息を吐いた。
    「三ツ谷ッ」
     今度は先ほどより強い声。これで反応しなかったら気を失わせてでも止めるしかねぇ。そうなると面倒なんだよな、こいつ。
     俺だってこいつの姿と変わらない。同じ格好って言ったろ。相手チームにはそこそこ強ぇのもいた。何発かもらったからそこそこダメージだってある。けどこいつより厄介な奴じゃねぇ。こうなったこいつとぶつかるなら、腕一本犠牲にしねぇとか。腕一本で済めば安いのか……?
     だが俺の思考は杞憂に終わる。ゆるゆると反応した三ツ谷はこちらに振り返り、俺の姿を認識した。目に光が戻る。俺はもう一度溜め息を吐いた。
    「よぉ、ドラケン。お疲れ」
    「お疲れじゃねぇよバーカ。千冬とタケミっちが泣きついてきてんだわ」
    「後でフォロー入れとくよ」
     そう言いながら、今の今まで髪を鷲掴みにしていた野郎を投げ捨てる。野郎の髪を鷲掴みしたまま喧嘩のど真ん中に突っ立ってたとか引くわ。マジで引く。
     俺がどう思っているのか、こいつはどうでもいいんだろう。まずテメェの歩く道に転がる奴らなんか視界に入っていない。こいつがこちらに向かって歩いてくる。踏んでいく度に呻き声が上がった。
     前にこの光景見たことあるな、やったことあるわ。三ツ谷で自分の行動を見つめる日がくると思わなかった。今日は自分の行動を改める日なのか。変わらねぇけど。
     あれだけ荒い息をしていた三ツ谷は、何もなかったとばかりな顔をしている。
    「で、理由は?」
    「クソが彼奴に手ェ出したから」
     なるほど、納得した。そういうことなら俺も存分にやったから人のこと言えねぇわ。
     この抗争は、うちのメンバーが相手チームから手を出されたことで始まった。リンチに近い形で。それがタケミっちだった。正確には、壱番隊の下っ端が襲われているところを隊長であるタケミっちが庇った。偶々近くにいた俺らが、偶々助けを呼びに行こうとしていた下っ端に会ったことで、偶々ことなきを得た。仲間に手を出されて黙っていられるほどいい子ちゃんの俺らじゃねぇ。そうして抗争が始まった。
     三ツ谷の周囲に転がってる奴ら、どっかで見たことある顔の奴らと思えば、タケミっちを襲った奴らじゃねぇか。こいつは御礼参りをしていた。
     あーあぁ、可哀想に。よりによって三ツ谷の子猫に手を出し、よりによって三ツ谷に目をつけられたのか。よりによって。可哀想に。
     
     人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえって言うのになァ。
     
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    Lemon

    DONE🎏お誕生日おめでとうございます。
    現パロ鯉月の小説。全年齢。

    初めて現パロを書きました。
    いとはじイベント参加記念の小説です。
    どうしても12月23日の早いうちにアップしたかった(🎏ちゃんの誕生日を当日に思いっきり祝いたい)のでイベント前ですがアップします。
    お誕生日おめでとう!!!
    あなたの恋人がSEX以外に考えているたくさんのこと。鯉登音之進さんと月島基さんとが恋人としてお付き合いを始めたのは、夏の終わりのことでした。
    一回りほどある年齢の差、鹿児島と新潟という出身地の違い、暮らしている地域も異なり、バイトをせずに親の仕送りで生活を送っている大学生と、配送業のドライバーで生活を立てている社会人の間に、出会う接点など一つもなさそうなものですが、鯉登さんは月島さんをどこかで見初めたらしく、朝一番の飲食店への配送を終え、トラックを戻して営業所から出てきた月島さんに向かって、こう言い放ちました。


    「好きだ、月島。私と付き合ってほしい。」


    初対面の人間に何を言ってるんだ、と、月島さんの口は呆れたように少し開きました。目の前に立つ青年は、すらりと背が高く、浅黒い肌が健康的で、つややかな黒髪が夏の高い空のてっぺんに昇ったお日様からの日差しを受けて輝いています。その豊かな黒髪がさらりと流れる前髪の下にはびっくりするくらいに美しく整った小さな顔があり、ただ立っているだけでーーたとえ排ガスで煤けた営業所の壁や運動靴とカートのタイヤの跡だらけの地面が背景であってもーーまるで美術館に飾られる一枚の絵のような気品に満ちておりました。姿形が美しいのはもちろん、意志の強そうな瞳が人目を惹きつけ、特徴的な眉毛ですら魅力に変えてしまう青年でした。
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