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    moricocchi

    @moricocchi

    ほぼ展示用/卍🎍受け

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    moricocchi

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    ※未成年の喫煙描写あり

    喫煙するみつ武 若い子達にのまれて息苦しかった。
     見た目は中学生でも中身は二十六歳。いくら体が若くともついていけなかった。
     俺ももう若くないんだなぁ……。
     武道は取り出した煙草を口に咥え火を付けた。気づきたくなかった事実に気づいてしまい、少なからずへこむ。
     息苦しさから抜け出したくて、集会の終わった境内にひとり残った。敷地内には誰一人いないはずだ。夜も遅い為、参拝者も来ないだろう。仮に来たとしても、この時間この場所の喫煙所など近づかない。
     武道は煙を少しずつ吸い、口内に溜め込む。煙草を口から離し、溜め込んだ煙を吐き出した。現代みらいの武道が成人を迎えていてもこの体は中学生である。俗に言うふかすだけに留めた。ふかす行為でも毒ではあるが、今は見逃して欲しい。武道は思う。
     それでも久しぶりの煙草はとても上手く感じた。現代より苦く感じるのは今の若さ故か。それもまた一興と武道はご機嫌だ。
     煙草は父親から拝借させていただいた。箱でいただくと勘づかれるだろうから三本だけ。一本を大事に大事に吸う。
     それでも終わりは来てしまうもので、武道は二本目の煙草に火を付けた。煙で輪っかを作るなど遊んでみる。おっ、上手くできた!なんてはしゃいでいたからだろうか、背後の人影に全く気づかなかった。
    「タケミっち」
     突然呼ばれ、武道の肩が大袈裟なくらい跳ねた。まさかこの時間この場所に人が来るなんて思わない。また、この渾名で呼ぶ者は限られている。即ちそれは武道が今現在会いたくなかった者に当たる。
    「み、三ツ谷くん……」
     武道は恐る恐る振り返る。聞き慣れた声。予想通りの人物がそこにいた。
     三ツ谷は武道の様子などお構いなしに隣に並ぶ。なんで、どうして……とあわあわ呟いてる武道に、「トイレの帰り」と三ツ谷は至って冷静に答える。この喫煙所はトイレから近くにあった。
    「煙草か。悪い子だなぁ、タケミっち」
     三ツ谷は、面白いものを見たと目を細め笑う。一瞬何か企んでいるのかと思えるが、武道からは三ツ谷が怒っている様に見えなかった。てっきり怒られるものだと思っていた武道は素直にそれを口に出す。
    「怒らないんですか……?」
    「怒らねぇよ。お前も不良ワルだろ」
     つーか、無免で単車乗り回してるやつに言われたかねぇだろ。
     続けられた言葉に、武道は確かにと納得した。
     東卍の構成員の殆どは中学生に当たる。故に煙草のことも知られたくなかった。
     運転免許を取得できるのは、種類にもよるが高校生からになる。つまり東卍の大半は無免許運転だ。
    「ってことで、俺にも一本」
     ん、と差し出された手に武道は最後の一本を三ツ谷に譲った。
     なけなしの俺の煙草が〜〜!と武道は内心思ったが、声に出さないのが大人というもの。大人と言い聞かせた。
    「これで共犯な」
     煙草を受け取った三ツ谷は、口元に弧を描き、悪戯っ子のように笑った。
     誰かと秘密を共有するのは、なんとなく嬉しくなんとなく気恥ずかしい。それは武道が過去そんな青春を過ごさなかったからなのか、相手が三ツ谷だからなのか。
     どちらなのだろうか。そのどちらもなのだろうか。武道は誤魔化すように煙草を咥えた。
     そこで火の存在に思い付く。三ツ谷はおそらくライターやマッチなど所持していないだろう。武道は、ライターを取り出すべく両手でポケットをあさった。
     ごそごそとズボンのポケットをあさっている武道に、三ツ谷も意図を察したのだろう。三ツ谷は武道の顔に己の顔を近づけた。
    「いいよ。そこから貰うから」
     武道の眼前に迫る三ツ谷。少し伏せられた瞳。武道と三ツ谷の距離は煙草二本分。所謂『シガーキス』と呼ばれるそれ。
     三ツ谷くん、睫毛長いな……。
     武道は間近に迫った三ツ谷の瞳から目が離せない。今までこんな近くで見ることなんてなかった。だからなのかその瞳に惹き込まれてしまう。
     煙草に火が付き、武道から離れてもつい視線を追ってしまった。整った横顔。どこか遠くを見つめる目線。煙草を指の間に挟み、口元を覆うように吸う仕草。中身大人である武道よりも大人っぽく色気がある。
     武道は、煙草を吸いながらぼーっと三ツ谷を見つめた。その視線に気づいたのか、三ツ谷がチラリとこちらに視線をやる。その視線に武道の鼓動が高鳴った。と同時に我に返っる。
     武道が口を開こうとしたその時、三ツ谷が煙草を口から離し、武道に煙を吹きかけた。突然のことでゴホゴホと咳き込む武道。三ツ谷は、
    「タケミっち俺のこと見過ぎ。穴開くかと思ったわ」
     至極楽しそうに笑った。
     いまだ咳き込む武道からしたら何が楽しいのかと苛立ちが込み上げてくる。確かに武道が見つめていたのが悪い。三ツ谷からしたら鬱陶しかっただろう。
    「それにしたって酷くないですか⁉︎」
    「そっ?俺からしたら気が気じゃねぇの」
     三ツ谷にそう返され、俺が悪いですけど……だからって、と煙草をふかしながらぶつぶつ呟く武道。誰でもなく武道だからであることを分かっていない。
     武道が煙草を吸う仕草は、陽の下で笑う彼を知っている者からすれば想像がつかないだろう。普段の姿とは程遠いどこか大人びて色気のある雰囲気。視線を外せないのはこちらの方だと三ツ谷は思った。
     弱虫で泣き虫で、けれど誰が諦めても絶対に諦めない心の強さの持ち主。その武道が煙草を吸っている。それを三ツ谷だけが知っている。武道は俺が見つけたと自称する万次郎でも相棒と謳う千冬でもない、三ツ谷だけ。
    「これからは俺の前だけで吸ってくれな、タケミっち」
    「言われなくても。さすがに他の人にまでバレたくないんで」
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