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    たると

    @1222vv0320

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    たると

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    めぐゆじ/腐/小話/短い/パロ

    めぐゆじハッピーぱろ01 アイドル
    広がる。光が、音が。イヤモニ越しに聞こえる音、隣に立つ虎杖の声、周囲を照らすホール中の観客の声。
    その中心にいる自分の声がかちりとその場にハマり酷く気持ちが良い。
    何度も踊ったサビのダンスを隣に並ぶ虎杖と揃える。揃えようと思わなくても揃う。横目で見遣れば笑顔が帰ってくるのが当然だと思っている自分がいた。
    「伏黒!」
    ファンに向けて伸びたセンステに飛び跳ねるように駆けて行った虎杖が、ファンに手を振って次には後ろを振り返る。俺を呼ぶ弾む声に自然と口許が緩む。ああ…この時間がずっと続けば良いのに。


    02 新婚
    起きた。
    ら、隣はもうもぬけの殻だった。合わせから強い光を抑える閉じたままのカーテンを鈍い頭で開ける。シャッと音が鳴り、起床を察した虎杖が台所からひょこりと顔を覗かせる。
    「おはよ」
    背に窓からの光を浴びながらぼやっと膜が張るように鈍い思考の中言葉だけはするりと口を出た。
    「伏黒、おはよ。ご飯出来てるよ」
    こちらに寄ってきた虎杖が両頬を包む。暖かい掌に包まれて瞼をつい閉じると降ってきた口付けは優しく甘い。
    鼻先を避けてゆっくり顔を傾け深いものにする。キスを繰り返すうち腕を回しゆったり虎杖の腰を抱くと唇の奥で舌先が逃げるように引っ込んだ。
    「先にご飯!」
    ステイをされる。むっと口を引き結ぶが虎杖の意思は固いようで馬鹿力で容易く腕の拘束は意味の無いものになった。
    ふう、と余した熱を吐き出す。先に歩き出した虎杖に続いて、良い匂いのするリビングに行く最中振り返る虎杖に足を止める。
    「後でな?」
    かち合った眼は情欲を秘めた色をしていた。…どう喰ってやろうか考えながらの朝食はいつもよりひとしお美味しかった。

    03 サラリーマン
    華の金曜日。繁華街に意気揚々と飛び込む先輩達を見送り、少しの残業をして俺と伏黒は少し前に見つけた穴場の静かな居酒屋のカウンターに並んで腰かけていた。成人を目まぐるしい新人のうちに済ませ、その頃から二人の間で解禁された酒飲みの楽しみは共に過ごす時間の当然になりつつある。
    同じ会社内と言えど互いに違う部署で働く身の上のため軽い近状報告の後、不意に酔いに任せて伏黒が顔を寄せてきた。
    「今日は泊まれるのか?」
    今まさにカウンターテーブルの上に置いた俺の掌は箸で味しみしみのもつ煮を摘もうとしていて、伏黒の掌はそれを阻むように重なっている。
    「当然」
    ニッと歯を見せて笑うと伏黒は箸を持つ俺の掌をそっと親指で撫でてから距離を開けた。俺は自由になった手を持ち上げ摘んだもつ煮をゆったりと口に運ぶ。
    ──…いや、こんなん味せん。仕事には慣れても一生この金曜日前の恋人とのなんとも言えない雰囲気には慣れないのだ。

    04 吸血鬼
    伏黒は腹が空いた時、良くぼーっとしたまま俺の喉元を見つめている事が多い。陽の光を遮る書斎の机に肘を置きながら物欲し気に視線が動かない。表情筋は全く動かないが相当重症らしい。伏黒の眉間に寄った皺を人差し指で突くとハッとしたような伏黒の間抜けな顔が見れて面白い。
    「伏黒。飯食う?」
    ふかふかの椅子に腰掛けた伏黒の腰の上にさらに腰掛ける。向かい合わせに座る俺の腰を伏黒は両手で支えた。
    「ン……」
    首筋に伏黒の鼻先が触れ、次には舌で皮膚を舐められる。つぷりと固いヴァンパイアの牙が皮膚に添えられるとひゅっと喉奥が縮んだ。ああ…食べられてる。
    吸血にジクジクと痛む首筋を蝕む痛みに比例して身体にふわふわと麻酔のように快楽が回る。伏黒の腰に乗せた腰が勝手にうねってしまう。どうしようもなく身体が熱い。
    「虎杖…」
    腰を揺する度食事中の伏黒が恨みがましそうに俺を諌める。許して欲しい。尻で下敷きにした雄を急かして急かして俺も早く食事をしたいのだ。

    05 学生
    屋上へと続く重圧な扉を開く。きいっと嫌な音を背で聞きながら奥へと歩むとアスファルトの中央で大の字に寝転がるピンク頭が見えた。
    伏黒の足底が立てる音に気づいてかその袖が天に伸びる。たどり着いた伏黒は伸びた掌に当然のように掌を伸ばした。
    「オマエ、ずっとサボってんじゃねえよ」
    「ふは、バレてた」
    常にオマエの姿を追ってるから当然だ。その言葉を飲み込んで伏黒も隣に腰掛けた。強く吹く春風にネクタイの先が揺れる。肌を刺すような北風とは違い春風はどこか暖かい。陽の光に温められたふわふわの毛を撫でると虎杖は隣で全ての贅沢を噛み締めるように瞼を閉じて大きく深呼吸をする。肺の出入りに上下する胸の動きを伏黒が静かに見遣る。
    「ふしぐろ」
    静かに呼吸を繰り返した虎杖が、次に目を開くと目の前には青空では無く伏黒が居た。
    「俺を構うのはサボんな」

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