酔った浮奇から迎えをねだるコールを受け、同じ理由で何度か訪れたことのあるバーに入るなり、サニーはすっかり慣れたもので迷うことなくカウンターへ足を進めた。
カウンターに並ぶスツールに腰掛けバーテンダーと楽しげに話す恋人の姿を見つけ背後から名前を呼べば、驚いた猫のようにぴっと背筋を伸ばし、弾かれたように振り返る姿に思わず笑ってしまう。
視線が合えば「帰るよ」と促す言葉に素直に立ち上がる浮奇の腰を支えつつ会計を済ませ、腕の中で楽しげに笑う恋人を速やかに連れ帰ろうとした矢先。サニーの背中に軽い衝撃を受け、反射的に謝罪を口にしながら振り返ると、顔を赤らめ明らかに酔っていると分かる男に睨み付けられていた。
自分がよろめいてぶつかってきたくせに、聞き取りが困難な言葉で詰ってくる。そんな見苦しい姿を冷めた目で見ながら浮奇の腰を囲う腕の力を強め、反対の手をホールドアップする。
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