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    Reiru_kana396

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    Reiru_kana396

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    自AU プロローグ
    文は初心者です。
    頻度低いですが、頑張って完結を目標に頑張ります。

    #EW_midnight_school_AU

    EW_midnight_school_AU #00 桜が咲いている。校舎から校門までの道のりには無数の花びらが散りばめられている。
    その中でも、多くの部活が新入生部員を手に入れようと、看板や紙を掲げ宣伝していた。
    「バスケやってみませんかー?初心者でも大歓迎だよー」
    「そこの君!吹奏楽部はどうかな?」
    突然目の前に差し出された勧誘のチラシに、ビックリしてトムは立ち止まった。しかなたく紙を受け取るとトムは早歩きで校舎へ戻った。
    この様子では、帰れやしない。ある程度いなくなったら帰ろう。
    そして、そのままため息を吐きながら、校舎とグラウンドの間にある通路を進みだした。
    この高校に入学して早1週間。あまりに広い校舎。多くの生徒。多くの部活があり、トムは疲れていた。校舎は迷うし、生徒は同学年でも7クラスはあり、部活は勧誘期間が始まった途端、ほぼ強引に入部届けを出させようとしてくる。
    しかも、部活は強制。あと、3日で決めなくてはいけない。新しく出来た友人たちはもう決まっているらしく、朝、さっそく入部届けを出していた。
    押し付けられることが苦手なトムにとって十分に考える時間も与えられず、多すぎて絞れない部活選びは苦しかった。
    家から近いのと、2年次からあるコース選択が気になってこの学校を受験したが、入学早々散々だ。
    グラウンドで練習しているサッカー部を見ず、トムはもらったチラシを睨みながら歩いていた。
    その時、
    バァッサァァ
    「は?」
    目の前に花吹雪が舞った。花弁にしては白く大きいそれらはすぐに地面へ落ち始める。画用紙だった。 トムは思わず、まだ宙を舞っていた一枚を掴み、それをまじまじとそれを見つめる。それには白黒のリンゴが描かれていた。デッサンであると分かる。
    「ねぇ、君!悪いんだけど紙全部拾ってくれない?」
    校舎から声がかけられる。
    見ると、背の高い男が窓から上半身を乗り出しながら笑っていた。後ろにイーゼルやら絵の具やらが置いてあることから美術室だと分かる。紙は彼がこちらを呼びかけている窓から、飛び出したようだ。言われたとおり、トムはすぐに数十枚の紙を拾い上げる。
    自分でもやけに素直に言うことをきいたなと気づいたのは、拾い終わった後だった。幸いにもグラウンドまでは飛ばず、アスファルトの通路に落ちたため、あまり汚れてない。手渡したときも彼はトムに笑いかけた。
    「いやー、ありがとう!助かったよ。絵を早く乾かそうとして扇風機使ったら後ろにあった画用紙に気づかなくって、めっちゃ舞ったw。ほんとにありがとうね!」
    渡すと手を思いっきり掴まれ、握手を交わす。まるで救世主と言わんばかりに。彼の太陽のような笑顔に見つめられるとトムの胸が高まった。
    「別にそんな大層なことしてない...です。」
    「あ、そんな謙遜しなくていいよ。俺はエッド。3年B組。君は...そのネクタイからして新入生?」
    高校は服装の規則が緩く、1年生は青、2年生は赤。3年生は緑のネクタイが基本だか、そもそも上級生の中にはシャツすら着ない人もいる。エッドもパーカーにブレザーを羽織っているだけである。だいたいしっかり着こなしているのは新入生のみだ。
    「1年A組、トムです。エッド先輩は美術部ですか?」
    「エッドでいいよ。なんか変な感じだし、そっちのが楽」
    いやそうゆう訳には、と言いたげなトムの顔を無視して、違うよー、とトムの質問に答える。
    「じゃあ、何で絵描いてるんですか?」
    「んー、俺美術コースなんだよね。明日提出のの絵、まだだったから美術室借りてる。部員全員勧誘行ってるし」
    ま、もう乾かすだけでいいんだけどね、とエッドは、アクリル絵の具をテキパキ片付け終えた。その後は近くにあった缶コーラを手に取り、一気に飲みほす。
    トムは完成した絵を見る。人物絵だか、素人目線からでも上手いと分かる。感心していると再び、声をかけられた。
    「トムは、部活もう決めたの?」
    「……いや、まだです」
    「そっか、あと3日くらいじゃない?早く決めないと部活名が書かれたルーレットでランダムに決められちゃうよ」
    「なんですか、その罰ゲームみたいな決め方!?」
    半分冗談だよ、と笑っていたエッドだったが、すぐに笑うのを止めた。少しの沈黙のあと、目がキラキラと輝きだし、口を開いた。
    「じゃあさ!俺が入ってる部活に入らない?」


    キーンコーンカーンコーン
    放課後に入る。友人と喋りながら荷物を鞄にしまう。
    「じゃあ、もう行くわ。先輩にどやされる。またな、トム」
    おう、と応えトムは昇降口に向かう友人とは反対の…南校舎へ向かい出した。
    音楽室、美術室、図書室、パソコン室、理科実験室など…実習向けの施設が多い。
    北校舎には、全校生徒が入る教室と職員室、食堂やその他、来客用の事務室がある。もちろん校長室もだ。
    そのため、結構ぎゅうぎゅうに人が詰められているが、南校舎はそうでない。数多の空き教室がある。 それらを部室として使う部活は多い。不思議研究部もその一つである。
    ガラッ
    「あっ、待ってたよー!トム〜」
    部室の扉を開けたトムに、紫のニットセーターを着た男が向かってきた。
    「やめろ、マット。暑苦しい!」
    慌てて抱きしめてきたマットを引っ剥がす。
    「トム〜、エッドたちが来る前にここ片付けくれない?」
    そういって、散らばった紙の方を指す。机にぶち撒かれたそれらは、棚の上にあったダンボールが落ちていることから、その中身であることが分かる。
    「なんで、こんなになるんだ」
    「えへへ、中身が気になっちゃって……」
    もはや慣れた光景にはあ、と溜息を吐く。
    1学年上のマットは、明るくクラス内でも人気者と言われているらしいが、トムからしたら、とても頼りない先輩だ。何故か一番乗りでやってくる彼は暇なのか、本来資料室である部室の何が書いてあるか分からない書類を漁っては、片付けがめんどくさくなり、後輩のトムに押し付けている。
    まぁ、結局は
    ガラッ
    「よっ、ってまた散らかってる!どうせ、マットだろ。こらっ、トムに片付けさせない!自分でやる!!」
    運良く来てくれたエッドによって、マットは片付けを自分でしざるを得なかった。
    エッドがマットを叱っている間に、エッドの後ろにいた人物は近くの椅子にドカッと座った。そして面倒くさそうに携帯を弄る。こちらも2年のトードだ。
    「珍しいッスね、早い時間からトード先輩が来るなんて」
    嫌味たらしくトムは言う。実際トードは幽霊部員に近く、活動時間の終わり頃によく来ていた。しかし、トムが入部するまでは、来ない日の方が多かったらしい。
    「まーね。か〜わいい後輩に会いたくてね」
    トムの反応なんて気にもせず、トードはニヤリと笑って返事をする。無言の圧力で牽制しあっていた2人だか、エッドの手を叩く音で一旦は中止された。 仕方なくトムは近くにあった椅子に座り、最後に片付け終えたマットが座り、3人はエッドの方を見た。
    「はーい、じゃあ今から"不思議研究部"活動を始めます。まず初めに、新学期が始まってもう1ヶ月がたった。この学校、運動部だと公式戦、文化部だと作品展や大きな大会がない限り、3年生はこの時期に引退しなくちゃいけないんだ。」
    そうゆうとエッドは近くにあったホワイトボードに黒ペンで文字を書き始める。
    「……とうことで、俺の最後の活動は、学校の七不思議の調査だ!」
    ボードにはデカデカの『七不思議を調べよう!』と書かれていた。



    はい!とマットが立ち上がりながら、手を上げる。エッドが指名する。
    「エッド!僕達今まで色んなところで見たことない生き物を見つけようとして、ダメだったじゃん。今回も無理じゃない?」
    「何言ってんのマット!確かに今までのは曖昧な情報頼りにやってきただけだから...今回は本当にあるかもしれない!なんせ、うちの学校の古くからある怪談だからね」
    不安そうなマットに対し、エッドはやる気満々だ。
    とはいえ、ほか2人もあまり乗り気では無い。
    「はあ、エッド。さすがにもうこういうのやめたらどうだ?滅多に来ないオレが参加したのには近場の池のネッシーの調査やら、裏山の宇宙人捜索なんてなんも成果がなかったし。今回も無理じゃね?」
    トードが呆れたように言う。トムもコイツと同意見なのは癪に障るが、この1ヶ月の中で見た部活内容はとんでもなかった。
    トードが言ったことの他に三目の犬やら、異界へ続く木など……、しかし、どこも結局はただの噂であった。
    「なんだよ。噂が本当にあるかどうか、それを見つけるために俺は、この部活を作ったんだ。どんなにヘンテコな噂でも調査する。これが不思議研究部のモットーだ!」
    むっ、とエッドは頬を膨らます。
    「それに、ホントにホントにコレは本当だよ!なんたって何十年も前から語り継がれる噂の最高峰"七不思議"なんだから。」
    「逆になんで今まで行かなかったんだ?」
    トムが反論する。この部活内では上下関係はない。エッドが決めたルールなのでどうどうと話すことが出来る。
    エッドは面食らったような顔をして「確かに」と呟いた。
    「まぁ、それは置いといて。……俺の最後の活動なんだ。俺が創設したこの部活に入ってくれたことには感謝してる。調査するときはもちろん、こうしてみんなで机を囲んでワイワイすることもめっちゃ楽しかった。そんなお前らと最後に、ホントに噂があるか確かめたいんだ。この部活を立ち上げたことに意味を持たせたいんだ。部長からのお願い。」
    エッドからの言葉に3人は黙り込む。
    エッドは本気だ。今までだってこの部活に全力を注いでいた。それは1番近くで彼を見ていた2人、まだ1ヶ月しか入っていないトムでもわかった。
    少しの間をおいて、
    「…しょうがないな」
    答えたのはトードだった。諦めたような顔でそういうとエッドの顔はみるみる明るくなる。
    「ホント?さすがトードだ。さっそく行く日時を決めよう!あ、確か七不思議は夜6時からしか出なかった気がする。なら……」
    エッドは、ブツブツ呟き始めて手元にあった紙に書き始めた。3人全員が行くことは決まりなようだ。
    マットは「えー!ホントに行くの〜?」と大きく不満を言う。でも、結局行くだろうと、トムは考える。マットは怖いものが苦手なのに何故かオカルト系にも参加している。というより、活動は全部参加している。
    ほんとなんでだ?
    「あれれ?怖がりなトムくんは無理ですかな〜。でちゃったら困るもんね〜。」
    ハハハ、トードが言う言葉にカチンとくるが、必死に抑える。落ち着け。
    この2ヶ月、コイツに散々やられてきただろ。乗ったらそれこそトードの思い通りだ。
    「うるさい。おれは怖がりじゃねぇ。おれも行くつもりだ。」
    ああー、言っちまった〜。行くって言っちゃったー。トムはこの手の話には少し不安だった。ホラー映画はどちらかというと得意だが、それは映画の中の話。そもそも、ビックリ系はさけぶタイプだ。コイツの前では絶対叫びたくない。それにもし……
    「もし、本当に七不思議があって、取り返しのつかないことになったり……なんか考えてんだろ?」
    トードはおれが考えていた事をさらっと言う。驚くことはもうない。いつもこうだ。そしておれがさらにキレる。トムが次の言葉を話す前に、トードはさらに口を開く。
    「ま、さすがにないだろ。七不思議の内容知ってっけど、明らかに学校に被害出るやつだし。絶対ないって」
    「そこ!不適切な発言禁止!」とエッドが持っていたシャーペンのノック部分をトードに向ける。トードは軽く謝ると、今度はトムに耳打ちした。
    「アイツには今までのことで色々感謝してる。今回オレは参加するぜ。なんせアイツの引退前最後の活動だからな。」
    トードはエッドのことを慕っていた。トムはトードが嫌いだったが、これには同意している。
    尊敬している、エッドのことを。あのとき、彼が話しかけてくれたことは、あのウンザリした部活勧誘に感謝しているくらいだ。きっと、トードが言わなくても、きっと俺も賛同していただろう。
    自分でも気持ち悪いくらいに、エッドを尊敬している。有り得ないだろうけど、エッドのために探してやろうじゃないか、七不思議とやらを。
    そのときのおれは、彼のためならどんなことも頑張れると思っていた。








    それが大きな間違いであり、そして、その考えが合っていたことを。

















    「皆いる?」
    「もー、夜更かしは肌に悪いんだよ。とっとと見つけて10分で帰るよ」
    「このライトなんだ?」
    「そりゃ、夜の必需品に決まってるじゃん」
    「スマホでいいだろ…にしても見慣れた校舎のはずなのに、随分雰囲気が違うな」
    「なに?ビビってんのか、トムクーン」
    「っるせぇ」
    「はいはい、ケンカしない。もうそろそろ8時…校舎を囲むフェンスが破けてる場所は確認済みだから、そこから行くよ」
    「「おう」」「はーい」
    かくして4人は、夜の学校へ忍び込んだ。果たして、七不思議はあるのだろうか。そして、"それ"を見つけたその先に、彼らはどう行動していくのか……。

    彼らの部活動が始まった。
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