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    OTuraisan

    @OTuraisan

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    OTuraisan

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    ふみ天、悪魔天使パロ。正気に戻りかける。たすけて。
    全年齢ここまで、ここからエロがはじまる。

    sink 真っ白なミルクのような翼をはためかせる。
     ビルの隙間を飛び、早朝の街中を見回して人々の営みを眺めて微笑んだ。
     大きな純白の両翼を風に揺らがせて、その人は教会の屋根にふわりと降り立つ。濃い赤紫の髪が重力に従うようにふわりと浮かび、白い布を巻きつけただけの服が透けるかのように溶けて神父服へと変化した。
     屋根にある小さな窓から教会の屋根裏部屋に足から入ると、中にいる白い鳩たちが人の気配にバタバタと騒ぐ。
    「はいはい、いま出してあげますから」
     昔は伝書鳩として、今は観光のひとつとして行政から飼育を頼まれている鳩たちを解放するために天彦は窓を開け放った。天彦とお揃いの真っ白の翼を目を細めて見送る。
    「神父様ぁ、神父様ぁ」
    「はぁい」
     ドアの向こうから聞こえる老婆の声に返事をしながら天彦は目を閉じて、ふっと息を吐く。それと同時に背中に生えていた翼が姿を消した。
    「朝ごはんができましたよ」
     ドアが開きシスター姿の老婆が顔を出す。天彦は柔和な笑みを彼女に向けると屋根裏部屋から出ていった。

     天使、天堂天彦は神父として教会に身を寄せながらある使命のために街を見回る日々を送っていた。

     なので、普通の神父として教会の仕事も引き受けている。
     彼らの中では昔からいるという認識になっていて天彦に対する信頼の度合いも高い。広い庭を近所の子どもたちが遊び、その親が見守るのを眺めながら天彦は聖書を片手に悩みを持つ信者の言葉に耳を傾けた。

     そして、また夜が来る。
     白い衣服を風に靡かせながら天彦は路地裏に飛び込むと、右手に持った長槍をそこにいた下級の悪魔に突き立てる。
     ぎゃああと醜い叫び声を上げて身動きの取れなくなった獣のような姿の悪魔に天彦は無表情のまま、槍を抉り上げてその身を切り裂いた。
    「それにしても下級悪魔が多いな……何かあるのか」
     砂のようにサラサラと崩れる悪魔だったものを天彦は眉を顰めて見つめる。くん、と鼻を鳴らして周囲を見回すとビルの間から飛び上がった。
    「あれか……ふっ」
     三匹の下級の悪魔がぎゃあぎゃあと騒ぎながら公園に向かう。その後ろを追うように天彦は翼を羽ばたかせた。
    「っ、なに」
     悪魔たちは何かを探すように広い公園を彷徨い、しばらくして目当てのものを見つけたのか、ある一点に向かって走り出す。
     その先には黒いもやを背負った子どもが倒れていた。
     深夜に近い時間帯にどうしてこんな場所に、と思いながらも天彦は長槍を投げて一匹の悪魔を滅ぼすともう一匹の頭を鷲掴みして頭部を握りつぶした。
     子どもの元に向かおうとする一匹を天彦は眉を寄せながら素早く飛び踏み潰す。
    「ああ、子どもの身体を手に入れようと?」
     天彦は翼を閉じて服を神父服に変化させると倒れる子どもを抱き上げた。小学、低学年くらいだろうか。身長の割りに細い身体を公園のベンチにそっと寝かせる。
     汗ばんだ黒い前髪を後ろに撫でつけて額に手を置いた。彼の身体を乗っ取ろうとしていたのかと思いながら軽く肩をトントンと叩く。
    「坊や、大丈夫ですか?」
    「んっ……ん、ひっ……ひっく……」
     薄く瞼が開き、紫色の虹彩が夜の薄暗さの中できらりと輝いた。しゃっくりをしながら子どもが身体を起こすとぼんやりとした顔で天彦の方を見て首を傾げる。
    「寝ぼけていますね、坊や」
    「あー……あれ?」
     キョロと公園を見回した子どもは夜更けの光景に眉を寄せた。
    「めっちゃ夜じゃん」
    「そうですね。君、ここで倒れていましたけど身体に異常は?」
     天彦の天使としての効果と、きっちりとした神父服に警戒心も抱くことはなく子どもは重たい瞼を擦る。
    「大丈夫」
    「そうですか。おうちは? 家族も心配しているでしょう。送りますよ」
    「ああ、それも大丈夫。ええっと、あれだよね。あの、あそこの教会の神父さんだよね?」
     彼は身体についた土汚れを手でパンパンと叩くとベンチから立ち上がった。
    「はい」
    「家は大丈夫。すぐそこだし。送らなくても、逆に困る……俺、家にいることになってると思うから」
     公園の隣にある家は薄っすらと明かりが灯り、人の気配もある。抜け出していたのか、と天彦は考えながら子どもの黒髪についた土を払った。
     悪意の残滓が黒いモヤとなって纏わりつくのをついでに浄化する。
    「そう、ですか?」
    「うん……神父さんは……」
    「天彦です、どうぞ。呼びにくいならそれで」
    「天彦……うん、会いに行ってもいい?」
    「あ、ああ……はい!」
     悪魔に目をつけられているのならば教会に来て貰えた方が浄化も強さも彼らがこの子に嫌悪感も持つだろう、笑顔で天彦は答えると、彼は薄い笑みを浮かべた。

    「俺の名前はね、ふみや。伊藤ふみや」

     翌日から、彼は教会の扉を叩くようになった。
     本を読むのと甘いものが好きだという子に天彦は教会に置かれた本を自由に読むのを許可し、イベントやバザーなどで配るクッキーの制作をシスターの老婆とも一緒にして、彼に分け与えた。
    「どうして、家にいないんですか?」
     ふみやから懐かれているのを感じながら、天彦は当初から感じていた疑問を彼に投げかけた。
    「あー……ね」
     大人びた子どもは口ごもりながら天彦の近くに寄る。
     シスターの老婆に聞こえないようにこっそりと天彦の耳元で囁いた。
    「大人たちがうるさい。俺のことを放置してるくせに、俺を見るとうるさい。違う部屋にいるのにうるさい、ずっと。大人たちだけでうるさい」
    「えっ」
     ふみやに纏わりつく黒のモヤはまだ消えない。
     悪意の残滓はずっと彼についたまま。肉親を「大人たち」と答える彼に天彦は困ったように眉を下げた。
    「悪ぃね。困るような答えで……ねえ、これってあとリボン巻けばいいの?」
    「あ、いえ……はい、ここに飾りをつけて」
     バザーで販売するサシェ作りを手伝う小さな手と腕は普通の子どもよりも細く頼りない。食事などは自分で用意していると言うが足りないのだろうかと天彦はどうにかならないものかと行政の介入さえも頭の中で考える。
    「いいんだよ、暴力とかないし。逆に家の中に閉じ込められる方が困るかな……前、そういうことあったから……はい、これは天彦にあげる」
     天彦の考えていたことを察したふみやが完成したサシェを天彦の手のひらにポンッと置いた。
    「それでも……ふみやさんが、助けて欲しかったら……言ってください」
    「うん。ありがと」
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