プロト和菓子屋「桂花堂」
季節のものを使った品々が売りの土産用和菓子屋。自分はこの店のアルバイト。
店主である天日さんは今、店の奥でうたた寝している。経理作業をしてるうちに寝てしまった様だ。
夕方4時過ぎ。お客さんが沢山くるピークを乗り越えて、店は一気に静かになった。遠くから聞こえる子供の声が、店内の平穏を一層際立たせている。入口からはちょうど暖かい日差しが入り込み、昼寝にはもってこいの状況だろう。
天日さんはあまりに幸せそうな顔で微睡んでいて、その様子を眺めるのが楽しいし、別格起こす必要を感じなかったので、しばらく店番は自分がしよう
「店主さんはいますか」
………とは、中々いかないらしい。
丸眼鏡で緑の服を来た少年が、静かに戸を開け入ってきた。度々、お客さんとして来る子だった。
1322