Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    genki1pai_otaku

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    genki1pai_otaku

    ☆quiet follow

    女装茨×女体化ひより♀
    ひよ♀メイクされる茨たゃんのいばひよ 気に入ってる

    茨ひよ♀「うんうん、結構かわいいと思うね!ぼくの次の次の次の次くらい!」
    満足気な日和の声に恐る恐る目を開くと、鏡に写る着飾った自身の姿が飛び込んできた。男にしては長めの髪はウィッグでロングヘアーにされており、眼鏡が外された代わりのように耳には金の重りがつけられていた。
    「……意外ですね」
    「なにが?茨はもともと顔だけは綺麗だってぼくずっと言ってるよね?」
    日和が腕を組んで首を傾げると、ふわふわのロングヘアーが揺れてシャンプーの匂いが鼻をくすぐる。それから、彼女が胸の下で腕を組むと平均よりも大きい膨らみが更に強調されるので思わず目を奪われてしまう。男子高校生なのだからこれは仕方ないし、許されたい。
    「いえいえ、日和殿下にお任せした時点でクオリティーに心配はしていませんでしたからそこではなく!ありがとうございます、これで安心して仕事に――……」
    「ではなく、何?」
    逃れられなかった日和からの追撃に笑顔のまま舌打ちをすると容赦なく頭を叩かれた。男女で力の差があるとはいえ、こうも遠慮なく暴力をふるわれるとさすがに痛いし腹が立つ。凪砂やジュンのように丸め込めないのがこの女の苦手なところだ。こんなにも扱いづらいし、顔と身体のわりに交際経験がないのも頷ける性格である。
    「ぼくは隠し事をされるのが大っ嫌いだね!なにが意外なのか説明をする、そんなに難しいことは言ってないね?」
    「……はあ。いえ、本当に大したことではないんですよ。殿下の普段の装いからもう少し可愛らしい服装やメイクを好むものだと思っていましたので、仕上がりのイメージが違ったんです。もう少し笑える感じになるかと思っていたのですが」
    先ほど思い切り叩かれたのが効いた茨も素直に白状する。眉間に深く皺を刻んで睨んでいた日和はそれを聞くと表情を明るくして組んでいた腕を解いた。
    その一連の仕草を張り詰めるような気持ちで見ていた茨はひとまずほっとする。
    「ああ、なんだ。そういうこと?当たり前だよね!ぼくはぼくに似合ったメイクを、きみにはきみに似合ったメイクをする。当然だよね!あ、でもかわいい方がいいならやり直してあげるから遠慮しないで言ってほしいね」
    「いえいえ、ご勘弁を!それでは時間も押していますし自分、そろそろ失礼してもよろしいでしょうか!」
    上機嫌の日和から着せ替え人形にされそうな気配を感じ、急ぎではないが席を立つ。茨も男性としてはそこまで背は高くないが、ヒールを履いているため日和よりは20cmほど背が高い。普段はあまり背の変わらない日和を上から見下ろすのは新鮮だった。
    いつもより少しだけ上目遣いの紫がぱちぱち、と瞬いたかと思うと肩に手を置かれ、座らせるように力をかけられた。
    「茨、リップを塗るの忘れてたね。すぐにしてあげるからもう一度だけ座ってほしいね」
    「はあ、リップくらい自分で塗れますが」
    「塗り方にもコツがあるね!」
    「……はあ。では、お願いします」
    口には自信があるが、どうも日和には勝てない。大人しく鏡の前に座らせられると、日和の持参品だったらしい化粧品の中から色の深い赤リップを取り出す。筆にリップをとった日和に指示されるまま、少しだけ口を開くと細くて冷たい日和の指が顎を支える。
    「茨は顔が派手だから派手なメイクが似合うね」
    「……そうですかね」
    「あ、喋らないでほしいね!悪い日和!」
    無視をしたらしたでお返事は?とか言われそうだ。
    細い筆が唇に乗り、目の前には真剣な顔でリップを塗る日和の顔がある。いつもかわいらしい装いだが、顔立ちでいえば日和は美人系なのではないかと思うのだ。背だって低くはないし、茨が施された派手な化粧だってよく似合うはずだ。
    「うんうん、これで完成!よく似合ってるね」
    「ありがとうございます、殿下!」
    唇になにかが貼りついているような違和感は拭えないが、目の前の日和が本当に満足そうでかわいらしく笑うものだから本当に毒牙が抜かれてしまいそうだ。しかし、ティッシュで軽くリップを落とした日和がブラシを私物のポーチに入れたことで茨の表情は固まる。
    「……殿下、もしかしてそちらも私物で?」
    「うん?今日茨に使ったのは全部ぼくの私物だね」
    「……そうですか」
    間接キスとか、そういうのは気にならないのかこの女は。いきなり突きつけられた事実に日和に触れられた顎が、唇をもったりと滑っていった筆の感触が思い出されて心臓がバクバクとし出す。耳の重りが不快な金属音を響かせているのも聞こえないくらい。
    「ふふ、茨にもかわいいところがあるね」
    「はい?」
    そう言わると胸ぐらを引っ張られ、唇に柔らかいものが当たった。ふわり、と近くで香るシャンプーの匂いに驚いて目を瞬かせるとビューラーであげられた睫毛が上に向いているせいか、視界がいつもより広い気がした。
    「間接キスで盛り上がっちゃうほどお子ちゃまじゃないよね、ぼくたち」
    自身が先ほど丁寧に塗られたリップと同じ色が日和の唇にも付着しているのを見つけてしまって顔が熱くなる。
    「で、殿下。その、今のはどういう」
    「眼鏡がないとキスがしやすくていいよね、あとその靴のせいでぼくからじゃ届かなかったから」
    座ったまま固まった茨を置いて、日和はさっさと荷物をまとめて扉に手を掛ける。
    「それじゃあ下にジュンくんを待たせてるしもう行くね!メイクもお洋服もすっごく似合ってるから頑張ってね。綺麗だよ、茨」
    「は、はあ……。頑張りますであります……」
    動揺で崩れた敬語に少し微笑んだ日和は秋になって少し生地の分厚くなったロングスカートを翻して去って行った。最後に言われた口説き文句は男前が過ぎる。
    座ったままのパイプ椅子に背を預けるとウィッグがさらさら、と音をたてて耳の横を滑る。
    「はあ、小悪魔っていうかあそこまでいくと悪魔ですね……」
    キスなんてするくらいなら胸のひとつやふたつ、押し付けてくれればよかったのにと思わずにはいられなかった。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works