プロローグ「らーいと♪」
「またオマエか」
轟雷斗に馴れ馴れしく話かけてきたメガネの少年、拝田丞は近所に住んでいるお兄ちゃんだ。丞は同年代の中ではどちらかというと華奢なほうだが、年上なだけあって背丈は雷斗より大きかった。
「また一人でいんのー?」
「ウゼェ……オレにかまうな」
家の近所の空き地にポツンといた雷斗に今日も丞は絡んでくる。雷斗が何度話しかけるな、自分にかまうなと言っても、丞はどういうわけか雷斗がいる場所を見つけては陽気に話しかけてくる。雷斗はどうしていつも丞が自分に絡んでくるのかわからなかった。雷斗と丞は同級生でもないし仲がいいわけでもない。親同士に縁があるわけでもない。ただ近所にいただけ。お互い近所に住んでいるやつ、という認識しかなかった。
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