日常①何か怪我をした訳でも無く、ましてや病気になったわけでもなき、朝目が覚めたら周りの色という色が認識できなくなっていた。とはいえ視覚を失った訳では無かったのでそれほど慌てることは無かった。とにかく主に伝えなければ、そう思い布団から起き上がる。幸いにも今日は出陣も内番も無く、厨当番の日でもない。ならば着る服はいつもの内番着で良いかと思い棚に手をかけ、服をり出す。色が分からなくても特に困ることはなく、寝間着を脱ぎ着替え、脱いだ服を抱えて部屋を出た。同室の初期刀である陸奥守はもう既に朝餉へと向かっているのだろう。もう一振の同室の燭台切は昨夜から遠征で不在である。つまり部屋にはもう己以外はいないと言う事だ。電気を消し、襖を閉めて洗濯場へ向かった。
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