鰹節の進捗 @ieiuuhunemu しばらくは手直ししない状態のものを進捗報告として投げたいと思います。お気軽に絵文字をポチっとして頂けたら嬉しいです。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 2
鰹節の進捗PROGRESS身の潔白を晴らす為に無実の罪で罰せられる兄の処刑を買ってでた不知火(しらぬい)だったが、ふいに幼少期の兄との思い出が蘇り、兄と共に本家からの逃避行にでたいと考えるようになったが……。狩る紅(くれない) 第一話 無造作に片膝を持ちあげた為に女の素肌が裾から覗く。誰の視線を構う必要もなく、寄りかかる背後にその素足をつけた。俄かに怪しくなった空模様が、薄暗がりの伽藍堂を更に宵闇に近付けていた。 折り曲げた膝の上へ、鞘に収まった三十センチメートル程の短刀を立てると左右の格子窓へ眼を向けた。上半身しか現わさぬ一個の人影が肌寒さを誤魔化そうと蠢いていた。女は背後に首を預けながら気を落ち着けようと息を吸い、瞼をおろした。鯉口を切る。瞬間、稲光が周囲を光と影とで浮かびあがらせた。 彼女の正面に目隠しをされ、後ろ手に縛られた男が両膝をついている。酷い暴力に晒された身体にはなんの手当も施されておらず、着物も乱れるままに放っておかれていた。 5153 鰹節の進捗MOURNING改稿中の進捗です。初稿と別物になりました。でも満足。翼切1-1 人魚と天使の落ち星拾い 夕陽の黄色に浸るように私室へ足を踏みいれると、窓際にある机の上でポツンとしている手紙が黒々とした宛名を見せつけてきた。目を離さずに前方へ一歩踏みだすたび、表皮を包みこむ幽かな温もりに撫でられている。陽光の色に変わることを拒むものたちが作る陰影でも、とりわけ空間に沈んだ印象を与えるのはインクの青黒さだ。凝視し続けると陽の射さぬ絶壁の如き窪みが並んでいるように見えた。 不動の黒へ近付くにつれ、一直線に疾駆するさまに似た筆跡を認められる。彼は急いて手を伸ばしたが、不意に幻惑を振り払うように瞬きをするとやめてしまった。閉ざされたばかりの扉の隣で、今や出番かと待ちかまえている暖炉の前を横切り、手紙が視界へ収まるように長椅子へ腰掛ける。ついでに持っていた上着を軽く畳み、脇へ置く。 8010 1