先生の秘密放課後。人目のつかないところでタバコに火をつけていると「校則違反ですよぉ」と独特の間延びした声が聞こえた。声の主は分かっている。顔を見ずにいい点取ってるんだから文句ないでしょ。と言うと、少し間を置いて「まぁ、それもそうですねぇ」声の主はあっけらかんと答えた。
教師らしからぬ返答にギョッとして振り返ると、先生はおもむろに白衣を脱ぎ「僕も学生の頃は結構ヤンチャしてましてぇ」シャツの袖を捲るとふにゃふにゃした笑顔に似あわない厳ついタトゥーが彫られていた。「若気の至りって言うんですかねぇ…」近くで見ると耳にはいくつものピアスの跡がついていた。ギャップに何も言えないでいると、「僕と◯◯さんだけの秘密ですよ」と人差し指を唇に当ていつものとは違う悪ガキのような表情で笑っていた。
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