しゃべらねぇで、場地さん…!③(完結)「拗ねんなよ。お詫びに何でもひとついうこと聞いてやるから」
「別に……」
「遠慮してねぇで、ほら、言えって」
だから、命令されたら身体が勝手に動いてしまうと言っているのに。
無邪気に言ってくる場地は分かっているのかいないのか。
どちらとも分からない場地の言葉にまた身体を支配された今、千冬がグッと歯を食いしばろうと無駄だった。
「次に喧嘩するときは……ぜってぇ、オレのこと連れて行ってください……」
「ん、分かった。約束な」
場地ににこりと微笑まれ、千冬は顔を真っ赤に染めながら、悔しそうに唇を噛み締る。
とはいえ嬉しそうにする場地に文句が言えるわけもなく、千冬はやり場のない気持ちをため息として吐き出した。
「……つうか、これでオレが帰るって言った意味、分かりましたよね」
3528