記憶は心の底に⑤降谷Side
毎月十日は、赤井と自分の記念日となっていた。
特に決まりはないが、その日は普段はしないようなことをする機会が多い。手の込んだ料理を作ったり、どこかへ遊びに行ったり。毎月思い出がひとつひとつ増えていく。
先月は、阿笠博士からプレゼントをもらった。
赤色の車は赤井に。白色の車は自分に。コナンから手渡されたそれは、自分たちにとっての宝物だ。
ネットで調べると、赤色の車はマスタング、白色の車はRX7というらしい。なぜこの車をプラモデルにしようと思ったのか。いつか機会があれば、阿笠博士に聞いてみたいと思っている。
二月九日、金曜日。
目を覚ますと、家の中に赤井はいなかった。
降谷は居間へ行き、自分たちの宝物の前に立つ。阿笠博士のくれたプラモデルは、ただのプラモデルではない。ボイス機能付きだ。
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