はつこいのきみ、或いは今はなき少女の為の(後編)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「月に戻ってきた子ぎつねは泣いてばかりいます。」
「これには仲間のきつねたちも困ってしまって、どうしたのとたずねました」
「子ぎつねは『ちいさな魔女さんのことをかんがえているの』と言いました」
「ぼくには仲間がいるけれど、魔女さんはずっと一人ぼっちだった」
「一人ぼっちはさみしくて、あのひとは今泣いているかもしれない」
「話を聞いたきつねたちもかなしくなってしまって、顔を見あわせます」
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「あいつがこれを読んでて、なんか懐かしくなったよ」
どこから見つけてきたんだか、と小さくぼやく。
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