17歳弟🦩×社会人兄🤥 現パロ図体はデカいのにまだまだ中身は子供だな、なんて口にしたら更に機嫌が悪くなるのは知っていた。だから口には出さないし、笑いもしないけれど溜息を吐いてしまったのだけは許して欲しい。ぐしゃぐしゃになった新聞に、零れたコーヒー、きっと皿の上に乗ったトーストは温くなっている。
「ほら、もう怒ってないで朝ごはん食べろ」
「…怒ってねぇ」
「それのどこが怒ってないんだよ」
如何にも怒ってますと言わんばかりに眉間に皺をよせ禍々しいオーラを出していてどこが怒っていないのか。ただでさえ厳つくて歩く度に不良に喧嘩売ってんのか?なんて絡まれるような顔をしているくせに今のドフラミンゴの顔は更に凶悪だった。これは絶対、知らない奴が見たら泣き出すだろうなぁ…。
それが怖いと思わないのは長年連れ添った家族だからか、それとも兄の欲目からか。怒った時は唇を尖らせるその姿がどうしても幼い頃を思い出させてしまう。平均よりも高い身長の17歳の野郎に対して思うのもどうかと思ったが、可愛いものは可愛いのだから仕方がない。
「しょうがないだろ?仕事が入ったんだから」
「…俺と仕事、どっちが大切なんだよ」
「そりゃ、お前、」
仕事だよ、なんて言えば確実に寝室に直行だ。今朝急にかかってきた電話を、断る事もできた。だけど同僚の奥さんが風邪を引き、つい最近1才になったばかりの子供と一緒に1人で家にいさせろなんて言える訳が無かった。
ちょっと職場へ行って会議に出るだけで、午前中には終わるだろう。休日の半分が消えたと思えば悲しいけれど、まだ半分残っている。そう思えば沈んだ気分は少し上がったが、どうやら目の前の弟は気に食わないらしい。家に帰ってくれば顔を合わせると言うのに。まったく、いつまでたってもブラコンで困るなぁ、なんてため息を吐いたが内心ではまだ自分の隣にいてくれる事が嬉しくもあった。(ほんの少しだけ、愛情のかけ方が普通とは違う気がするけれど)
「午後には帰ってくるから、な?」
「……」
「そしたら、お前が見たかったあの映画でも見に行こうぜ」
「……、」
「服屋にもよって…ついでに何か飯でも食ってくるか」
「……飯は、いい」
「いいのか?なんか前食べたかったって言ってたのなかったっけ」
「フッフッフッ、飯も映画も服屋もいいから…」
グイっと腕を引かれてバランスを崩した。気づけば鍛え上げられた硬い胸が目の前にあった。耳元でドフィの息遣いが聞こえる。ふわり、鼻を掠めた香水の匂いに頭がクラクラした。
「 ── 、」
「…どこでそんな言葉覚えてくるんだ」
「さあ、どこでだろうな?」
早く帰ってきてくれよ、おにーちゃん♡なんて笑う悪魔がそこにいた。
(さっさと終わらせてお前を喰わせろ)