🦩🤥「ウソップ」
静かに呼ばれる自分の名前、緊張して思わず唾を飲み込む。
いつもと変わらない笑みを浮かべているというのに、その声に温度は感じられなかった。
大きな手がゆっくりと伸びてきて、そっと頬に貼られたガーゼの上を撫ぜる。
慈しむような優しい手つきなのに、何故か震えが止まらない。
「ウソップ、」
「ぁ、な、に、ドフィ…?」
「フフ…またいつもの貧血か?
落ちついたか」
「っ、ん、ちょっと休んだから大丈夫」
「そうか、それなら良かった。
──ところで、」
あの男は誰だ?
ドフラミンゴの笑みが深くなる。
心臓が早鐘を打ち、息が詰まる。
視線を逸らしたいのに、サングラスから目が離せない。まるで蛇に睨まれた蛙のようだと、どこかで冷静な自分が言う。
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