生まれ変わってまた出会う話② ⚫︎第三話 嫉妬 ─瑞月─
授業の終わりを告げるチャイムが、ざわざわとうるさい教室に鳴り響く。
たった今猫猫のクラスで授業を終えたばかりの瑞月は教卓の前に立ち尽くしたまま、こっそりと唇を噛み締めていた。
──あの男は、いったい何なんだ。
いや何なんだって何だ。どこからどう見たって、俺の生徒だろう。
「この頃の経済は────」
その日の授業中、瑞月はすでに暗記済みの教科書を読み上げながら視線はちらちらと猫猫を追っていた。
時刻は昼下がり、うつらうつらと舟を漕ぎ涎を垂らす姿はたまらない。きっと教科書を読む自分の声に安心感を覚えて、知らず知らずのうちに眠気に誘われてしまったのだろう。
前世でも寝台で俺の話を聞きながら、いつの間にかすやすやと寝ていた妻を思い出す。口元を濡らす涎を拭ってやるのが、夫としての喜びの一つだった。
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