シス過去捏造痛い
寒い
ひもじい
眠い
苦しい
――
「泣き言を吐くな。感情を殺せ」
土の上で眠り、飛んでくる暗器を察知して跳ね起きる。
「いつ何時でも警戒を怠るな」
自分の何倍もある大きな大人と真正面から組手をし、圧倒的な質量差に敗北する。
「俊敏性を鍛えろ。手数を増やし、殺される前に殺せ」
――
「甘えるな。そんな力でカルムの長になど到底なれるものか」
「――はい、お父さん……」
物心ついた頃からそうだったから、疑問はなかった。
そういうものなのだと考えていた。
けれど、痛く、苦しく、――寒くて、辛くて――。
毒に慣れる為、致死に満たない量を摂取し、耐える訓練の最中。
胃の腑の内容物をぶちまける為、それは土蔵で行われていた。
鉄格子の嵌まった窓から、月明かりが差し込み、顔を照らす。
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