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    グラシス的救いを加筆してオンリーに間に合わせたい

    #シス
    sister
    #捏造
    hoax

    シス過去捏造痛い

    寒い

    ひもじい

    眠い

    苦しい

    ――

    「泣き言を吐くな。感情を殺せ」

    土の上で眠り、飛んでくる暗器を察知して跳ね起きる。

    「いつ何時でも警戒を怠るな」

    自分の何倍もある大きな大人と真正面から組手をし、圧倒的な質量差に敗北する。

    「俊敏性を鍛えろ。手数を増やし、殺される前に殺せ」

    ――

    「甘えるな。そんな力でカルムの長になど到底なれるものか」

    「――はい、お父さん……」

    物心ついた頃からそうだったから、疑問はなかった。

    そういうものなのだと考えていた。

    けれど、痛く、苦しく、――寒くて、辛くて――。

    毒に慣れる為、致死に満たない量を摂取し、耐える訓練の最中。

    胃の腑の内容物をぶちまける為、それは土蔵で行われていた。

    鉄格子の嵌まった窓から、月明かりが差し込み、顔を照らす。

    「ぅ………ぁ…」

    眩しさに目を薄く開く。無意識に呻き、本能が助けを求め視界を彷徨わせる。

    土蔵の入口を背に、父はジッと立ち、こちらを見つめていた。

    助けはない。

    そういうものだ。

    ただ耐え、強くならなければならない。

    ――

    実際に暗殺を行うため、一時的に郷を離れる。

    暗殺対象は、別の島の住人だった。

    対象を尾行し、行動範囲を調べ上げ、いつ何処でどのように暗殺するかを計画し、遂行する訓練の最中。

    対象を視界に入れ、昼間の喧騒の中を、人混みに紛れて歩く。

    石畳が敷かれた広い道の両脇には、食べ物を売る屋台が立ち並び、呼び込みの声がそこかしこから響く。笑顔を浮かべる大人に手を引かれ、俺とそう背丈の変わらない子供も多く歩いている。それに紛れ、溶け込み、不審をいだかれないように、目付役の大人の服の裾を握って歩く。夜闇に紛れ気配を殺す以外にも、目立たず行動する事は訓練の一つだ。

    直ぐ側で、子供が転ぶ。石畳の道は硬く凹凸がある。殴打した膝は傷を負い、血が流れる。

    それは当然だった。その程度の傷、治療するまでもない。ただ起き上がり、痛みに耐えるだけのもののはずだった。

    しかし子供は目に涙を浮かべ、転んだまま泣き声をあげる。

    「うわああん! お父さん! 痛いよぉ!」

    「ああ、よしよし、可哀想に、血が出ちゃったね。ほら、抱っこしてあげよう。痛いの痛いの飛んで行け〜」

    子供の手を握っていた大人が――子供の父親が、泣き止まない子供を助け上げた。抱き上げ、頭を撫でて、身体を揺すってやりながら、歩き去る。

    「――」

    不可解な行動に、俺の足は一瞬止まり、目付役に不審の目を向けられ、また歩き出す。

    ちらりと見上げるが、返ってくるのは温度のない視線。それも一瞬で、すぐに対象へ視界を戻す。

    暗殺訓練は支障なく遂行された。

    けれど、俺は可能性に気づいてしまった。

    俺にも助けはあるのだろうか。

    助けの手に甘え、子供たちと笑顔で遊ぶ、そんな未来があるのだろうか。

    ――――

    広場に集められた一族の者たちの前で、入神湯を飲み下す。

    喉が焼け、胃の腑が煮える様に熱くなる。その熱は身体中に伝播して、手足が震えだす。

    苦しい

    助けは――

    「――父…さん……苦し……」

    「情けない姿を見せるな。克服しろ」

    助けはない

    そういうものだ

    では何故、あの子供は助け上げられた?

    何故、俺に、助けはない?

    こんなに――苦しいのに

    いつも、痛くて、苦しくて 寒くて

    どうして? 苦しい 痛い

    このままでは、死んでしまう

    殺されてしまう

    「殺される前に殺せ」

    そうだ

    助けはない

    殺される前に殺さなければならない

    ――

    その日、カルム一族は滅亡した。

    それを成したのは、当時まだ幼かった1人の少年。

    カルム一族当主の息子。

    生まれながらに驚異的な身体能力を備えたその少年は、一族に大きな波紋をもたらした。
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