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    nana_kk0810

    @nana_kk0810

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    nana_kk0810

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    支部に載せてたディーラーぱろの最初。
    つづきかけてないけど、こっちにちょっと移行。

    まだ始まってないやつー。

    Trick each other 1「はい。オレの勝ちね」

    にゃはは。と笑うその顔は少し前までの勝負師として見せていた凛々しさとはまるで真逆。
    幼さと無邪気さを持っていて、まるで別人かのようにも思えた。

    「どうする? 続ける? それともここでやめる?」

    僅かに釣り上がる口角。
    男にしては赤く艶のある唇を舐めるその仕草が、客の視線を釘付けにする。
    幼気な無邪気さの奥に見え隠れするその艶を暴いてみたくなる。
    それが客をギャンブルの淵へと誘い込んでいるとも言えよう。

    彼の名前は「モモ」。
    もちろん、このカジノでのディーラーとしての通り名である。

    モモがこのカジノにやってきたのは本来はカジノ内で行われていると言われている、イカサマと人身売買の証拠を掴むためだった。

    このカジノの通常フロアのディーラーから持ち前の人身掌握術と、捜査のために必要な僅かなイカサマとそして強運で短期間でメンバーズフロア、ハイレートフロアと確実に上り、そして次に狙うのは上客でなければ入れない支配人フロア。
    そこのディーラーまで上りつめて、ここのカジノの支配人に近づいて証拠を掴む。
    それが百の役目だった。

    確実に一歩一歩、おそらくは破格のスピードでの昇格に他ならなかっただろう。
    幼げに見える顔立ち。
    それに騙されるかのように勝負を挑む客を前に、勝負が始まると途端に表情が変わる。
    息を飲むほどに凛々しく、雄々しく美しいその姿。小柄ではあるものの、均整の取れたスタイル。
    その指先から器用に操られるカードやダイスたち。
    ギャンブルの魅力と共に、モモというディーラーの魅力に取り込まれる客も少なくなかった。


    「モモ。支配人がお呼びだ。支配人室へ行け」

    ハイレートフロアのマネージャーが百に声をかけてくる。
    何かと面倒みのよい彼は、百の肩をポンっと叩いて耳元で告げる。

    「いよいよ、支配人フロアのディーラーになれるかもな」
    「にゃはは。まさかそんなー。けど、モモちゃん、何かやらかした覚えはないし……ちょっとは期待してもいいかにゃ?」

    可愛らしく小首を傾げながら、右手をそっと首元へと触れさせる。
    そこには革製のチョーカーがつけられていた。
    ディーラーの制服を着ていると分かりにくいそれは、実は通信機の役割を果している。

    今もこのカジノ内の音を、百の声を、会話を拾い百の雇い主に当たる岡崎凛太郎と百のサポートに当たっている岡崎凛人の元へ届けている。

    ハイレートフロアのマネージャーが離れると、百は俯きがちになってマイクの役割を果たす部分へと小さく声をかける。

    視線はきっちりと周囲へと走らせ、そして人目につきにくい死角を探すとそこへ体を滑り込ませる。

    「聞いてたおかりん。支配人フロアから声、かかった」
    『百くん、お手柄ですが無理はしないでくださいね。危険だと判断したらすぐに撤退してください』 
    「だいじょーぶ。絶対証拠掴むから」
    『信用はしていますけど、本当にくれぐれも気をつけてくださいね』

    心配そうな凛人の声を聞きながら、百は視線をまだ上がったことのない支配人フロアのあるであろう場所へと向けた。

    そのルビーのような瞳がスッと細められ、口元には不敵な笑みが浮かぶ。
    赤い舌がぺろりと唇を舐めた。

    「絶対、尻尾つかんでやる」

    百はゆっくりと支配人フロアへと向かって歩き出した。





    同じ頃。

    「千、あの子を支配人フロアに引き抜いたって本当か?」
    「万。耳が早いな。これからここに来るはずだから、万も会う?」

    銀色の長い髪に、整った顔立ち。中性的にも見えるその男がここの支配人である、通称「千」であった。
    その千の手元には数枚の写真があった。
    そこに映っているのは百である。
    ディーラーとして真剣な顔。
    休憩中なのか寛いだ笑顔を見せているもの。
    千は指先で百の写真の顔をなぞる。

    「お前が好きそうなタイプだな。けど、この子、「犬」の可能性高いんじゃなかったか? ディーラーとしての腕は確かに見事だけど、有能そうだからこっちにも危険が……」
    「万」

    千が補佐役を務める万こと万理を制する。
    声と視線をだけで、余計なことを言うなと告げる千は、付き合いの長さから分かるが、いつになく楽しそうに見えた。

    「犬だって構わないさ。狂犬だったり、噛み付いてくるようだったら」

    千は真っ直ぐに前を見つめる百の写真を取り上げると、それに口づけた。

    「躾けなおしてあげればいいじゃないか」

    楽しそうな千に万理は肩をすくめた。

    やれやれ。可哀想に。

    千に気に入られたらしい、可愛らしい青年に万理は同情せずにはいられなかった。

    そして……。

    「支配人、連れてきました」

    ハイレートフロアのマネージャーに伴われて百が支配人フロアに足を踏み入れた。

    百と千。

    二人の視線が一瞬絡み合ったのは、きっと気のせいではなかっただろう。
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    recommended works

    eyeaifukamaki

    PROGRESS愛をみつける
    ②と③の間のケイside
    タイトルたまに見つけるになってる
    “みつける”が正解です
    ケイ君も深津さん大好きだけど、さぁきたや、ノアにはまだまだ魅力が及ばない、という感じで書いてます。
    これも誤字脱字確認用
    大好きな人がアメリカに来る。その通訳に俺が任命された。爺ちゃんから頼まれて、断る理由はなかった。ずっと憧れてた人。俺の高校時代にバスケで有名な山王工高のキャプテンだった一つ上の深津一成さん。バスケ好きの爺ちゃんのお陰で、俺も漏れなくバスケが好きだ。うちの爺ちゃんは、NBAの凄いプレーを見るよりは日本の高校生が切磋琢磨して頑張る姿が好きらしい。俺は爺ちゃんの娘である俺の母親とアメリカ人の父親の間にできた子だから、基本的にはアメリカに住んでるけど、爺ちゃんの影響と俺自身バスケをやってる事もあって、日本の高校生のプレーを見るのは好きだった。その中でも唯一、プレーは勿論、見た目もドストライクな人がいた。それが深津さんだ。俺はゲイかというとそうではない。好きな子はずっと女の子だった。深津さんは好きという言葉で表現していいのか分からない。最初から手の届かない人で、雲の上の存在。アイドルとかスーパースターを好きになるのと同じ。ファンや推しみたいな、そういう漠然とした感じの好きだった。会えるなんて思ってなかったし、せいぜい試合を見に行って出待ちして、姿が見れたら超ラッキー。話しかけて手を振ってくれたら大喜び。サインをもらえたら昇天するくらいの存在だ。深津さんを初めて見た時は、プレーじゃなく深津さん自身に惹かれた、目を奪われた、釘付けになった。どの言葉もしっくりくるし、当て嵌まる。それからはもう、虜だ。爺ちゃんもどうやらタイプは同じらしい。高校を卒業しても追いかけて、深津さんが大学に入ってすぐに、卒業したらうちの実業団にと既に声をかけていた。気に入ったら行動が早い。条件もあるが良い選手は早い者勝ちだ。アプローチするのは当然。その甲斐あってか、深津さんは爺ちゃんの会社を選んでくれた。深津さんのプレーを間近で見れるようになった俺は、もっと深津さんに心酔していった。一つ上なのになぜかすごく色気があって、でもどこかほっとけない雰囲気も醸し出していて、それがまた堪らない。深津さんのアメリカ行きの話が出て通訳を任された時は、そんなに長くない人生だけど、生きてきて一番喜んだ瞬間だった。こんな事があるなんて。爺ちゃんがお偉いさんでよかった。爺ちゃんの孫でよかった。俺は深津さんとは面識がない。ただ俺が一方的に心酔してるだけ。だから、深津さんの語尾がピョンというのも爺ちゃんから聞いた。深津さんは高校の時
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