逃げるあの人、追いかけるアタシ 放課後の教室には赤色の西日が差し込んでいました。
時刻は終業時間間近、廊下や校庭を見回っている教師が残っている生徒たちに帰宅を促し始めており、学生たちの一日の終わりが近付きつつあります。
教師の声が遠くから聞こえる最中、その教室では。
「ふぅ、これでよし」
トパーズは教室の後ろにある棚の上に花瓶を置いていました。
既に花が活けてある花瓶を眺め、ホッとしたような小さな息をこぼすと、
「お前もマメだな」
その後ろで、呆れるような関心しているよう声で言うバムにゆっくりと振り向き、苦笑い。
「あはは……でも、最初に“教室って殺風景すぎるから花とかあったら彩りよくなるかも〜”って言い出したのはアタシだから、最後までやらないとね」
20042