急用につき、午前休。 アルハイゼンは人から自分がどう見られるかを気にしない。そもそも他人と自分では根本の価値観が異なる上に、元より備わっている知識量も違う。前提条件が平等でない状態から進める議論ほど無駄な時間は無いだろう。だからこそ他人から向けられる視線も「ああ見られているな」というただの事象に過ぎない。自分がそうなのだから人に「他人からどう見られるか意識しろ」などと口うるさく言ったことは数えられる程しかなかった。その貴重な回数は全て同居人と呼ぶのも躊躇われる、転がり込んできたルームメイトに向けて使われていたが。
つまり、かの偉大な大建築家以外の人に向けてこの言葉を発するのはアルハイゼンが記憶している限り初めてのことである。
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