背丈水木家居間の一角にある柱には意図的に付けられた線が何本もある。はじまりは50cmぐらいの高さだろうか。それから年々線の高さが変わって1mを越えて10cm、20㎝とどんどん高くなり、ある年に引かれた線を最後に終わっていた。
最後に鬼太郎の背丈を測ったのはもう何年も前のことで、鬼太郎もその父親のゲゲ郎も今は水木家を出て別の場所で暮らしている。
二人からこの家を出て別のところで暮らそうかと思うと話を切り出された時は、やはり妖怪と人間は共には暮らせないのかと種族の違いを思い知らされ、これで二人とは今生の別れになるやもと覚悟の上で送り出したが、案外そんなことはなかった。
離れて暮らすようになってからも時折機をみては二人一緒に里帰りだといって家に来てくれたり、親子それぞれで訪ねてくるときもあって、あの時二人に隠れてひっそりと流した涙を返してくれと拍子抜けしたものだ。
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