撤饌(おさがり) 目が覚めたからには起きなきゃならねえ。
本当はもう死んでて棺桶の中で腐ってんじゃねえかって妄想を夜ごと夢見るのだけど、カーテンの隙間から伸びる陽の手がやたらながくて眩しくて、おれの顔を横切るくらい長くて、いったい毎日毎日なにを必死に腕伸ばしてんだ、風になにか大事なモンでも飛ばされたのかといつも目を開けてしまう。
サボの唸り声が聞こえる、まだ寝てねえのか、いや寝て起きたのか、どちらにしてもあいつはあんまり眠らない、同じ家に住んでるのに生活リズムがいまだにわからねえけど大体元気にかわいいこと言って騒いでる、ルフィは耳栓して寝てるからおれがちゅーして服着替えさせてやるまで起きない、起きてる気もするけど、起きてねえって喋ってっから寝てんだろうなかわいい、一生家にいたらいい、しっかしサボはうっせえな、寝返りをうちあくびをする、眠り足りねえのかもな、なんでおれふたりと一緒に住んでるなんて思ったんだろう、ルフィは海に出てサボは死んでんのに。
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