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    ななめ

    創作BL(@naname_336)と
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    ななめ

    ☆こそフォロ

    広瀬(大学生)×入江(助教)。初めて行った神社が安産祈願の神社だった話。
    正月二日の話。

    #創作BL
    ##広入

    安産祈願 正月も二日になると神社はひとけがなくなるらしい。いや、多分、ここが地元の入り組んだ界隈にある、小さくてひっそりとした神社だからだろうと、入江は境内をキョロキョロと見回しながら考えた。ついさっき近所の人らしき参拝者が出て行って、ここには入江と広瀬の他には誰もいない。
     入江はこの神社にくるのは初めてだった。以前から地図を見て存在は知っていたのだが、徒歩三十分の距離にある、駐車場のない神社に出向く機会は今までなかった。ところが今年は、なんの気無しに広瀬にこの神社の話をしているうちに、なんとなく行ってみようかという雰囲気になったのだ。
     広瀬は入江よりも後ろで立ち止まり、参道脇の案内板を眺めている。入江も急いで引き返し、広瀬の隣に並んで案内板を見た。まだ入江が文字を読み始めないうちに、広瀬は「ここって安産祈願の神社なんですね」と言った。
    「えっ、そうなんだ」
     入江もざっと目を通す。そこには神社の説明や由来が書いてあり、最後のほうにはしっかりと安産祈願の神社だと明記されていた。
    「そっか、知らなかったな。俺たちには関係ないな」
     せっかくの休みに時間をかけて歩いてきたのに、広瀬には悪いことをしてしまった。入江が寒さに首をすくめてしょんぼりしていると、広瀬は「いえ、ちょうど良かったです」と振り向いて、にこっと笑った。
    「えっ、なんで」
    「休み明けに提出のレポートがあるんですけど、難航せずスルッと書き終わるようにお願いします」
     広瀬は澄ました顔でそう言うと、拝殿に向かって歩き出した。
     ──冗談なのか本気なのか分かりにくいんだよなあ。でも多分、気を使ってくれたんだよな。
     入江は慌てて後を追い、広瀬と並んでさして長くもない参道を歩きながら、「帰りにコンビニにでも寄ろうか」と言った。
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    本を読む晶の向かい側で、正良はこくりこくりと居眠りをしている。こたつの温かさとカーテン越しの柔らかい光が眠気を誘うのだろう。
    時計の針が十時を指した。
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    と言 602