きみが思い出をつかい果たしても〜鬼道を使うと、代償として記憶を失うAU(1) 悪い知らせ
温氏との全面戦争はもう何日も続いていた。
射日の連合軍は温氏の本拠地である岐山へと迫るべく、各地の監察寮を攻めては戦いを繰り広げていた。
その日、藍忘機は兄のそばで、雲夢江氏の軍についての知らせを聞いた。射日の連合軍では、御剣の速いものを定期的に遣いに送りあい、互いに戦況を知らせていた。江氏は渭南を攻めていたが、門弟の半数以上が戦死したためいったん全軍後退したという。
一方の藍氏は、渭南から一五里ほど離れた耀州で戦っていた。
藍忘機が進み出て言った。
「兄上、私が渭南へ行って加勢します」
「しかし……」
ここ耀州の監察寮もまだ落とせてはいない。藍忘機が離脱するのは痛手だと、藍曦臣の表情は語っていた。
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