偏屈探偵と午後のひととき[第一話]ベイカー街221B。其処に佇む小さな下宿、その下宿に住むは、かの有名な名探偵『シャーロック・ホームズ』と言う男だった。だが、彼が住む下宿の地下に、もう一人(もう一匹)の名探偵が暮らしていると言う事を彼は知らない。
その探偵の名はバジル。バジルは難事件を次々と解決してきた言わずと知れた凄腕の探偵である。ネズミ界で彼の名を知らない者は居ないであろう。
バジルはネズミ界のホームズと言われるほど称賛され、崇められたりしている。その一方でスタイルの良さや、女性をまるで相手にしない素っ気なさや、彼特有の偏屈さで、一部の、いや、大勢の女性にモテたりもしている。それを横目に少し妬ましく思いながら、バジルの相棒、ドーソンは大広間に在る暖炉の側で、カップに入っている熱々の紅茶を吐息で冷ました。
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