手錠「ブラッドさま、お願いがあるんです」
シャワーを浴び、後は眠るだけという時間にオスカーが切り出してきた。俺のベッドに肩を触れ合わせながら座り、いつものように今日の報告を受けていた時間だった。仕事の話ではないのは明らかだ。
何も言わない俺をオスカーが待っている。もじもじと、それでも決意を秘めた瞳が俺を離さない。これは――期待してもいいのだろうか?
「言ってみろ」
「これを付けていただけませんか?」
差し出されたのは手錠だった。俺とキースを繋いでいたあの厄介な手錠ではない。プラスチックにメッキをしたような――いわゆるプレイ用の手錠だ。
「オスカーは俺にこれを付けてほしいのか?」
鸚鵡返しに言葉を返すと、オスカーの顔がぱぁっと輝いた。コクコクと何度も頷きが返ってきた。
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