好きな理由…合宿の際部員全員で風呂に入ることがあたり前になっている。
時々テンションが上がり騒ぎ過ぎて赤木の雷が落ちることも風物詩しとなっている。
今回の合宿場所は温泉もいいと評判の場所だとた。
合宿地が決まりそれを聴いて一番嬉しそうにしてたのは宮城だった。
練習後の疲れた身体を引きずりながら皆で大浴場に向かう廊下。
宮城は鼻歌を歌いながら先頭で嬉しいそうに歩いていく。
オレはただその小学生のように嬉しいそうな宮城の小さな背中を呆れ半分微笑ましく後ろから見ていた。
綺麗サッパリ汗を流し温泉で身体を癒したオレは濡れた髪をタオルで拭きながら脱衣場を見回す。ほとんどの者が揚がりドライヤーをしたり風呂揚がりの牛乳を飲んだりマッサージチェアーでマッサージをするなか、ある人物の姿が見えない。
オレは近くで身体を拭いている安田に声を掛けた。
「おい!安田、宮城は?」
「リョータですか?リョータならまだ入ってますよ」
「はぁ!まだ?!」
「はい…」
オレがあまりにも大きな声を出したため安田は一瞬怯えたが「悪い…」謝ると「アイツ風呂好きですから。」といい止めていた手を動かし着替えを再開する横でオレは「たく…女子かよ…」と思わず呟いてしまった。
結局宮城が揚がって来たのは夕食が始まる少し前だった。
よく…のぼせないないなぁ…と隣で美味しそうに夕食を頬張る宮城を横目に見ながらある意味関心してしまった。
夕食が終わり大広間を後にする。
だいたい合宿先は広い部屋を取り皆で雑魚寝というのも風呂と同じで当たり前になっている。
「ふぅ~食った食った」と敷いてある布団に横になる。練習の疲れもありこのまま眠ってしまいそうだ。
現に、流川は既に夢の中だ。
赤木と木暮は明日の練習メニューについて打ち合わせをする横では枕投げでも始めそうな桜木がいたり、カードゲームを始めている者もいる。
皆なんだかんだで合宿を楽しんでいるようだった。
ふと周りの様子を横になりながら眺めていると
桜木の次にハシャギそうな宮城の姿が見えない。
オレは隣でUNOをしている二年に声をかける
「なぁ…宮城は?」
「そういえばいないすっね…」
「安田宮城は?」
「あぁ…リョータなら今度は露天風呂に行くって言ってましたよ。」
本当にアイツ風呂好きですよねはっはっはぁ~と笑う安田。
「たく…アイツはしずかちゃんかよ…」
まるで漫画に出てくる女の子のようだと思ったが特別にする事もないしまだ寝るには少し早いためオレはタオルを一枚持ち部屋を出た。
露天風呂は部屋から結構離れた場所にあり来たことを少し後悔した。ふぅ…やっと着いたと
脱衣場の暖簾を潜る。脱衣場はシーんと静まりかえり恐らく宮城の物であろう衣服だけがカゴの中に入っているだけだった。
オレは腰にタオルを巻いて露天風呂に向かう。
微かに鼻歌が聴こえてくる。
近づいていくと宮城が気持ちよさそうに浸かっていた。
オレは驚かしてやろうと「ニヤり」とする。
宮城に気付かれないようにゆっくりと背後に忍びよる。
宮城はそんなオレに気付づいておらず
「ちっちゃい時から悪がきで~」
と呑気に歌っている。
オレはふぅ~と息を吸い大きな声で
「わぁー」と驚かすと
案の定宮城は「ギャー」と声を上げる。
ドッキリがうまくいき思わず腹を抱えて笑ってしまう。
「はっはっはっ~お前ビックリしすぎ!」
「三井さん?!」
「いや~お前の顔傑作だったは!」
「誰だって驚くでしょうが!」
「いや~でも、はっはっはっ~」
と笑っているとおもいっきり宮城にお湯をかけられる。
「なにしやがる!」
「お返しですよ!」
「お前…やったなぁ~」
しばらく二人でお湯の掛け合いが続いたが
「はぁ…疲れた…」
「誰のせいですか…オレの至福の時間を…」
今はお湯の掛け合いに疲れ温泉に二人並んで浸かっている。
「お前…何回入るだよ…」
「だって勿体ないじゃないですか!温泉ですよ温泉!」
「そいうもんか…」
「たく…三井さんは温泉のありがたいさをわかってないですよ…」
ブス~と隣で膨れる宮城。オレだって温泉は好きだでも宮城のように長く入ったり何回も入るほどではない。
「はいはい…で何でお前そんなに好きなワケ?」オレが素直な疑問をぶつけてみた。
宮城は少しビックリしたような顔したがふぅ~と息を吐き話始めた
「オレの家集合住宅だから風呂が狭いっすよ…
だから…こうして足を伸ばせるって凄い贅沢なわけ…」
宮城はぐう~と手足を伸ばす。宮城の家庭のことは聞いたことがない。でもそんな話をする宮城の顔が少しだけ寂しそうに見えた。
だから思わず…
「そっか…」
濡れている宮城の髪をガシャガシャと撫でてやった。
「なんすか?ガキ扱いしないで下さいよ!」
「ガキだろ?オレより…」
「一歳しか違わないじゃないですか…」
とまたブスっと膨れる宮城を横目につい笑みがこぼれるのだった。
「うぇ…逆上せたかも…」
「オレに付き合うからですよ」
オレはパタパタと手で顔を仰ぎながら部屋に向かう長い廊下を歩いている。
「そうだ!三井さんアレ食べたいな!」
宮城が指指したのはアイスクリームの自販機だ。
「自分で買えよ!」
「えぇ~オレお金持ってきてないですもん!」
「だったら欲しがるなよ!」
「でも三井さん持ってますよね?」
確かについでにジュースでも買おと思って小銭は数百円ある…たく本当にこういう時はちゃっかりしているのだ
「わかったよ…どれがいいだよ…」
「流石先輩!」
「こういう時だけ先輩扱いするな!」
オレは小銭を自販機に入れると宮城は嬉しそうにボタンを押す。
「やっぱりアイスはチョコミントですよ!」
ニカッとオレの方を見ながら笑う宮城。
やっぱりガキじゃねぇか…と呆れたけどそんな無邪気な宮城を見ているのも悪くないと思った。