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    kaigetu_twst

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    kaigetu_twst

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    ※♠️総受け・デフォルト名の監督生♀登場
    twstがゲームだと知ってる♠️が、乙女ゲーム版twst(ただし主人公は自分)でがんばる話
    登場カプ:クロデュ/エスデュ/リドデュ/トレデュ/ケイデュ

    #デュース総受け
    deuceTotalAcceptance

    「汝の名を告げよ」

     ずっと馬鹿やって、母さんを泣かせて、反省して、ようやく迎えた念願のナイトレイブンカレッジの入学式。
     名前を呼ばれ、闇の鏡を前にして僕は全てを知ってしまった。

     ここはゲームの世界だ。



     この世界はツイステットワンダーランドというゲームの世界だ。プレイヤー=監督生のマブとして様々な事件に巻き込み、巻き込まれしながら、共に物語を進めていく。これが僕、デュース・スペードというキャラクターに与えられた役割だった。
     ゲームのキャラクターが「ここはゲームの世界で、自分はそこに登場するキャラクターだ」と認識することは絶対にありえない。しかしバグ、というやつなのだろうか、僕はナイトレイブンカレッジの入学式でそのことを知ってしまった。おまけに今後の展開とか、他の人たちの過去とかも。
     まあ、だからと言って何かするわけではないが。急に「この世界はゲームで、お前たちはキャラクターだ」なんて言い出したら確実に痛い目で見られる。それはミドルスクールで死ぬほど味わった。あんな思いは二度としたくない。それに知識を得たからと言って、僕自身が強くなるわけではない。おそらくユニーク魔法も文化祭が来るまで発現しないだろう。だから体張って寮長たちのオーバーブロットを止めるとかもできない。
     ここはおとなしく役割通り演じていこう。そう決めて僕は入学式を過ごした。

     しかし寮分けの最後、監督生が鏡の間にやって来る時に、この世界の異常に気付いた。
     ツイステットワンダーランドでは監督生の性別ははっきりとされていない。恐らくこの世界の監督生も男か女かわからない見た目なんだろうなと思っていた。しかし学園長の後ろについてきた監督生を見て思考が止まった。
    「まさか間違えて女子生徒を連れてきてしまうなんて……!」
     学園長が嘆く通り、監督生は女だった。僕らと同じ式典服を着ているが明らかに胸の部分が膨らんでいる。それに髪も長いし、顔も童顔で目もぱっちりしていた。
     だけどそれ以上に僕はおかしいものが見えていた。学園長の頭の上に0%と書かれた灰色のハートマークが浮かんでいた。なんだあれは。体力ゲージか? いやそれなら0%はおかしい。
     しかもハートマークがあるのは学園長だけではない。前に立つ寮長たちや、席に座ってる見覚えのあるやつら、あと教師陣にいる数人。すぐにわかった。ツイステ内の主要キャラたちだ。もしかして僕もあるのでは、と頭上を見たが幸いハートマークは見えなかった。流石に頭にハートは恥ずかしい。
     というか他のやつは見えていないのか? ちらりと横を見たが、みんな監督生ばかりを見ていた。……やはり見えているのは僕だけのようだ。
     ずっと眺めていたのがバレたのか、学園長とバチリと目が合ってしまった。慌てて視線を逸らす。
    「道案内ありがとうございます」
    「ええ、私やさしいので!」
     お礼を言う監督生の方を向いたので、もう一度、今度は凝視しないように学園長の方を見た。……ハートマークの数値が3%に変わっていた。それに先っぽの方が少しピンクになっている。まさかあれは……。
    「好感度ゲージ?」
     例の知識の中にあったのだが、この世には乙女ゲームという女性向け恋愛ゲームがあるらしい。女性主人公が様々なイベントで攻略キャラの好感度をあげ、最終的に恋人になったり、結婚したりするゲームらしい。
     改めて今の状況を確認する。主要キャラがすべて男性キャラ、女性の監督生、謎のハートマーク、そして監督生がお礼を言ったことで上昇した数値。
    「……まさかここ、乙女ゲーム版のツイステットワンダーランド、なのか?」
     次の瞬間、学園長に捕まっていたグリムが暴れだし、僕の言葉は喧騒の中に消えていった。



     ふと視線を感じて、そちらを向けばピーコックグリーンの瞳と目が合った。すると慌てて視線を逸らされてしまった。逃げるものを追いたくなるのは、やはり烏だった頃の名残なのだろうか。
     お礼を言う監督生くんの方を見つつ、またちらりとそちらを確認する。こういう時に仮面は便利だ。視線がバレにくい。と、今度は控えめにこちらを見ていた。せっかく逃げたのに、また近づくとは。
    「そんなことをされては、優しい私でもつい、捕まえたくなってしまいますねぇ」
     手が緩んでいたのか、掴んでいたモンスターが逃げ出し、暴れ始めてしまった。……ああ、彼の視線もそれてしまった。まあいい、まだ始まったばかりだ。狙うチャンスならいくらでもある。



     なんとか入学式が終わり、案の定帰れなかった監督生(名前はデフォルトの通りユウだった)は、オンボロ寮に住むことになったようだ。そして次の日、ストーリー通り鏡舎で鬼ごっこをするエースたちと出会った。相変わらずエースの頭にはハートマークがついていた。ただ不思議なことにこのハートマークは、監督生が近くにいないと見えないらしく、入学式の後、寮長やエースの頭を見たが何もなかった。
     ちゃんと大釜でエースを捕まえ、その間にグリムが逃げていく(ちなみにグリムにはハートマークはなかった。監督生にとってはペット判定なんだろうか)。結構すんなりストーリー通り進むもんだな。
     グリムを追いかけている時、ふとこの後の展開を思い出して、焦った。……この後、僕はシャンデリアを壊さないといけないじゃないか!
     メタ知識(ああいった知識はこう呼ぶらしい)を得た今ではあの行動がどれほど馬鹿なことか自覚してるし、10億マドルもするとわかって壊すのは良心が痛む。
    「……ここはエースに期待して、僕は手を出さないでおこう。うん、これはメタ知識を得た僕だけの特権だ」
    「デュースくん、何か言いました?」
    「独り言だ。気にしないでくれ。あと僕にくん付けも敬語もいらない。同い年だろ? 気軽に話してくれ」
    「ほんと? じゃあこれからはデュースって呼ぶね。よろしく」
    「ああ、よろしく」
     本当はメタ知識で、僕と監督生がダチと知ってて、その話し方は違和感があるだけなんだが。
    「ちょっと、オレが必死に追いかけている中、なに仲良く話してるわけ?」
     向こうの方からやってきたエースは不満そうにむっとする。どうやら向こうにグリムはいなかったようだ。
     主人公とキャラが仲良くしていると、別のキャラがそれを阻止しようと割り込んでくる。メタ知識で得た、乙女ゲームのよくある展開だ。
     エースは既に監督生が気になっているらしい。ハートの数値は10%になっていた。
     僕は監督生と恋愛しようという気は特になかった。だから素直に引き下がろう。
    「生徒ではないとはいえ、同い年だからくん付けと敬語をやめてくれって言ってただけだ。特に他意はない。トラッポラもそうしてもらえばいい。そうだろう、ユウ」
    「うん」
    「ふーん、そいつは名前でオレは名字なのかよ」
     どうやら監督生だけを名前呼びしてるのが気に食わないらしい。
    「基本は名字って決めてるんだ。あとユウは名前だけしかないんだし、仕方ないだろ」
    「じゃあオレもエースでいいじゃん」
    「わかった。エース。これで満足か?」
    「うん、オッケー」
     満足げに笑うエースのハートは15%に上昇していた。こいつ相当監督生のことが好きだな。
    「あっ、グリムいた! 食堂の方!」
    「よし、追いかけるぞ!」
     この後、シャンデリアに上ったグリム目掛けて放ったエースの風魔法がシャンデリアの鎖を切ってしまい落下。そして僕らは魔法石を集めに鉱山へ向かうことになった。これが噂の世界の矯正力か……。退学沙汰にはなったがちょっとわくわくした。



     昔から真面目そうなやつは苦手だった。特に根性論語って来るやつは。アイツはまさにそれ。だから仲良くなれないだろうなって思ってた。
     でもアイツが監督生と仲良く話してるのを見て、胸がざわついた。足早に近づいて、話に割り込んだ。
    「特に他意はない。トラッポラもそうしてもらえばいい」
     なんだよ、オレだけ名字って。しかも何でわざわざ他意はないって。それってあるって言ってるようなもんじゃん。
    「ふーん、そいつは名前でオレは名字なのかよ」
    「基本は名字って決めてるんだ。あとユウは名前だけしかないんだし、仕方ないだろ」
    「じゃあオレもエースでいいじゃん」
    「わかった。エース。これで満足か?」
    「うん、オッケー」
     名前で呼ばれるとスッと胸のざわつきが収まった。名前呼びの特別感に口元が変に歪むのを手で隠す。会ったばかりの相手なのに。よく恋愛ドラマで見たけど、絶対あり得ないと信じてこなかった、まさにあの状態。
    「一目惚れ……?」
     グリムを見つけ、追いかけて行ったふたりの耳にはオレの言葉は聞こえていないようだった。



     物語が少し進んだころ。メタ知識で言うと1章終わったあたり。この頃僕は、盛大な勘違いをしていたんじゃないかと、薄々感じ始めていた。
     今はお昼休み。食堂で昼食をとっている。
    「なあデュース、この後、『ふたりで』図書館行かね?」
    「おや、勉強かい? ならボクの方が良いだろう。ボクの部屋においで、デュース」
    「その前にケーキ作り手伝ってくれないか? デュースの好きなシフォンケーキだぞ」
    「最近勉強ばっかりじゃーん。たまには息抜きしないと! けーくんとマジカメスポット巡りなんてどーお?」
     僕を囲うように座るエースと寮の先輩たち。少し離れたところに座る監督生が「どんまい」と言いたげにこちらを見ていた。エースたちの頭のハートマークは100%になっており、灰色からピンク色に変わっていた。おかしい。あのハートマークは監督生に対する好感度ゲージではなかったのか? それなのに数値が上がるたびにエースも先輩たちも僕との距離を縮めてきて、100%の今では、時間が空けば僕の所へやってきて、遊びや自室に誘ってくる。どう考えてもおかしい! これじゃあ、まるであのハートは僕に対する──。
    「トレイくん物で釣ってばっかじゃん」
    「お前もマジカメのいいね目当てだろう?」
    「デュースは勉強で忙しいんだ。キミたち、邪魔をするんじゃないよ」
    「デュースの性格はオレが一番わかってるんで、寮長じゃなくてオレが教えますー!」
    「あーーーーっ! 僕日直の仕事忘れてました! 行ってきます!!」
    「えっ、デュース!?」
     バチバチに火花散らしあうエースたちに耐えかねて、思わず食堂を飛び出る。
     とりあえず近くの空き教室に入った。
    「デュース、大丈夫?」
    「え、ユウ。何でついてきてるんだ?」
    「忘れ物したの思い出して、私もついてきた。デュース今日、日直じゃないよね? 突然飛び出してどうしたの?」
    「ちょっと、色々……」
     エースたちに迫られて逃げてきたとは言えず、露骨に目をそらす。
    「……デュースはどこまで知ってるの?」
    「え? どこまでって」
    「この世界が実はゲームとか。自分はキャラクターだとか。何故かデュースが主人公の乙女ゲーム状態になってることとか」
    「ま、待ってくれ! いや前半は良いが、いや良くないな、それよりもだ! 最後はなんだ!? 主人公はユウの方だろ?」
    「あ、やっぱり勘違いしてたんだ」
     とりあえず座って話そうと言われ、僕は椅子に腰を下ろした。



     監督生と話してわかったこと。
     どうやら監督生もここがゲームの世界だと知っているらしい。今後のストーリーとかも。そして監督生は一部のキャラの好感度を見ることができる能力を持っていた。そう、あの頭上のハートマークのことだ。僕も見える理由はわからないらしい。そもそもここまでバグが起きてる時点で、何が起きてもおかしくないが。しかしその好感度の対象が──。
    「僕だなんて……」
    「ちなみにどこら辺から違和感に気付いた?」
    「エースが本来言わないセリフとか行動とかとった時だ。廃坑に行った時とか」
    「最初の方だね」
     1番最初、廃坑で魔物と戦った時、少し怪我をしてしまった。それを見たエースは自分の持っていたハンカチで手当してくれた。突然の優しさに困惑してると「お前、肌きれいなんだから気をつけろよな。デュース」と軽くデコピンされた。おかしい、エースが僕のことをジュースではなく、きちんとデュースと呼ぶのは序章の最後のはず。そもそも僕に向かってきれいとか言う時点で変だ。まさかバグで優男になったのかと思ってると「オレってホントやっさしー。お前もそう思うだろ?」と監督生にウィンクしていた。
    「あの時は、『なるほど、ユウに優しいアピールするためか』と解釈してたんだが……」
    「実は私も最初は、自分が主人公なのかなーって思ってたけど、あの後デュースがエースにお礼言った瞬間、10くらい好感度上がってたから『あ、これはデュースが主人公だな』って。あとデュースは好感度ゲージがなかったし」
    「わかってたなら教えてくれ……」
    「今の所は弊害ないでしょ?」
    「弊害あるから食堂から飛び出してきたんだが……?」
    「でも1章終わった段階で、既にハーツラビュルの4人を完全に攻略済みなんて。もしかして乙女ゲー得意?」
    「得意どころかやったことすらない」
    「あ、でもこの世界、ヤンデレルートとか心中ルートとか監禁ルートとかあるらしいから気を付けてね」
    「嘘だろ」
     話そこそこに、そろそろ食堂に戻るかと立ち上がった時、どこからか『ピコン!』と電子的な音がした。監督生も聞こえたのかあたりを見渡す。そして僕を見て、なにか気づいたのか、僕の頭上を指差した。
    「恋愛攻略レベルが上ってる」
    「そんなのあるのか!?」
     見上げると確かに『恋愛攻略レベル♡』と言う文字と2という数字が浮かんでいた。
    「……で、恋愛攻略レベルってなんだ?」
    「さぁ……?」
     ふたりで首を傾げていると、教室のドアが開きエースたちが入ってきた。あ、やばい。めっちゃ怖い顔してる。
    「遅いと思ったらふたりで何してんの」
    「あー、これは、その」
    「もしかして、デュースちゃんと監督生ちゃんって、そーいう関係だったりするの?」
     ダイヤモンド先輩、目が笑ってないです。あとその後ろにいる寮長とクローバー先輩も。まずいこれ、絶対勘違いされてる。僕が責められるのは別に良いが色々話を聞いてくれた監督生を巻き込むのは避けたかった。そんな僕の心配とは裏腹に監督生はケロッとしていた。
    「私は元の世界に恋人いるので違いますよ」
    「……へぇ、どんな方なんだい?」
    「あっ、聞いてくれます? 刀剣乱舞って言うんですけど」
     ポケットからスマホを取り出した監督生。あれ、確か手ぶらでこの世界来てなかったか? 次の日枕元に落ちてた? 何でもありだなこの世界。スマホ片手に熱弁しだした監督生は若干引かれていたが、誤解は解けたらしい。全員で食堂に戻った。今後誰かとふたりきりは避けたほうが良いかも知れない。これでヤンデレルートとかに入られても困る。
     戻ってる最中、監督生に小脇をつつかれた。何だと聞けば、前を歩くエースを指差す。そして気付いた。エースの近くに何やらポップアウトのような物が出ている。文字が書かれているようで、目を凝らして読んで見る。
    『エース・トラッポラ
    攻略難易度:★☆☆☆☆
    主人公の親友ポジション。
    褒めると素直に喜んでくれるため、好感度は上げ易い。その一方で嫉妬深い所もあり、他のキャラと仲良くしていると、好感度が下がりやすい。
    好感度MAXにしたあと、6割以下に好感度を下げてしまうと心中ルートに突入する。部屋でふたりきりになったタイミングで襲ってくる。反撃に成功するとエースのみが死亡する。その後ゴーストとなって死ぬまで憑いてくる。元々好感度が上がりやすいので、そこまで気にして生活する必要はない』
     これって所謂、攻略ヒントってやつか……? 監督生に目で訴えると、監督生も無言で首を縦に降る。もしかして、さっきのレベルが上がって見えるようになったのか?
     それよりもだ。エース、お前心中ルートがあるのか? え? そういえばと思い出して、エースの好感度ゲージを見ると100%から95%に減っていた。恐らくさっき監督生とふたりでいたのが原因だろう。このまま減り続けたら「デュースを殺して、オレも死ぬ!」展開が待っているのか、普通に怖い。
     もしやと思い先輩たちの方を見てみる。
    『リドル・ローズハート
    攻略難易度:★★☆☆☆
    主人公の所属寮の寮長。
    ☆1のキャラに比べると好感度は上がりにくいが、難易度の高い寮長組の中では最も攻略しやすい。
    ルールを破ったりすると大きく好感度が下がってしまう。
    「絶対だよ」といわれた約束を3回破ると監禁ルートに突入する。寮の地下に閉じ込められ、リドルに躾けられる。リドルの理想通りに矯正されると外に出れるが、その時には契約を結ばされているため逃げるのは不可能』
    『トレイ・クローバー
    攻略難易度:★★☆☆☆
    主人公の所属寮の先輩。
    性格上、好感度は上がりにくく下がりにくいので、時間はかかるが一度好感度を上げてしまうとその後は早い。
    好感度を100%にした時点でヤンデレルートに突入する。魔法を使ったお菓子やケーキでじわじわと主人公を上書きしてくる。最終的にトレイの食べ物以外食べれなくなる=トレイなしでは生きれなくなる。浄化の石を持っておくと魔法を無効化できるので100%にしたらすぐにショップに行こう』
    『ケイト・ダイヤモンド
    攻略難易度:★★★★★
    主人公の所属寮の先輩。
    トップクラスで難しいキャラなので、最初から攻略するのは諦めた方が良い。
    仲良くしようと近付きすぎると逆に好感度を下げてしまう。適度な距離を取ろう。
    ①部屋でケイトが本音を話している時に遭遇する
    ②好きな食べ物を教えてもらった上で、一緒にラーメン店に食べに行く
    このイベントに遭遇しないと、好感度は50%を超えない。
    さらに
    ③ケイトから「主人公ちゃんとは特別になれるかな」と言われる
    このイベントに遭遇しないと好感度は100%にならない。
    好感度100%にした上で他のキャラを選ぶとヤンデレルートに突入する。マジカメで主人公の過去や嘘情報を拡散し孤立させる。「オレの特別は主人公ちゃんだけ、主人公ちゃんの特別もオレだけ」と唯一ケイトだけが主人公の味方に残り、ふたりは結ばれる』
     ……うん? 既にこれ詰んでないか? 主に最後二人で。監督生はご愁傷さまですと哀れんだ目で見てきた。やめろ! 僕をそんな目で見るんじゃない!
     お昼休みが終わり、ひとりになれたタイミングでとりあえずサムさんの所へ走った。



     あの事件でオーバーブロットしたボクに、キミはそれでもすごい先輩だと言ってくれた。あの時の彼の笑顔を見て、思ってしまった。彼を自分のものにしたい。支配したい。
     もしかしたらお母様もこんな気持ちだったのかもしれない。愛してるが故に自分の思い通りにしようとする。
     大丈夫。ボクはあの人のようなことはしない。絶対だよと言えば、キミは自分の意志で従ってくれる。
     そうだよね、デュース?



     放課後。僕は部屋で監督生とマジカメのDMで話していた。他の奴らは部活などでいなかった。
    『僕はどうしたらいいんだ??』
    『運命を受け入れる』
    『嫌だ』
    『ワガママ』
    『物理的に死ぬか、社会的に死ぬか、監禁されるか、人に依存するか。この選択肢を受け入れろと??』
    『そもそもなんで高難易度のケイト先輩を既に攻略してるの? 書かれてたイベント、クリアしたの?』
    『……思い当たることはある』
    『まじか……』
     クローバー先輩に頼まれてダイヤモンド先輩に書類を届けに行った時、たまたま聞いてしまった先輩の本音。それをきっかけに話す事が多くなって、好きな物を知って、先輩行きつけのラーメン店に行って、そこで言われた「デュースちゃんとは特別になれるかな」という言葉。
    『もしかして乙女ゲーのプロの方ですか??』
    『未経験です』
    『そういえば、トレイ先輩の方は平気なの? 石は買えた?』
    『聞いてくれ、全部売り切れてた』
    『インストックナァーウじゃなかっただと』
    『部活で使うらしくてサイエンス部が全部持っていったらしい』
    『あ(察し)』
     噂をすれば何とやら。「明日小テストだろう? 教えてやろうか?」とクローバー先輩が部屋に入ってきた。どうしようか。今まで喜んで教わりに行っていたのに急に遠慮したら怪しまれるだろうか……。
    「本当ですか? すぐに行きます!」
    「わかった。部屋で待っとくな」
     出ていく寸前、クローバー先輩が僕をじっと見た。
    「そういえば、お前浄化の石が欲しかったみたいだな」
    「えっ」
    「サムさんから聞いたんだ。何か使う予定だったのか? 悪いな、うちの部活が買い切ってしまって」
    「あ、いえ、急ぎじゃないので大丈夫です」
    「そうか。じゃあ待ってるぞ」
     完全に扉がしまったのを確認してスマホの電源をつける。
    『明日僕の姿がなかったら察してくれ』
    『え、怖』

    続くかも……?
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     この世界はツイステットワンダーランドというゲームの世界だ。プレイヤー=監督生のマブとして様々な事件に巻き込み、巻き込まれしながら、共に物語を進めていく。これが僕、デュース・スペードというキャラクターに与えられた役割だった。
     ゲームのキャラクターが「ここはゲームの世界で、自分はそこに登場するキャラクターだ」と認識することは絶対にありえない。しかしバグ、というやつなのだろうか、僕はナイトレイブンカレッジの入学式でそのことを知ってしまった。おまけに今後の展開とか、他の人たちの過去とかも。
     まあ、だからと言って何かするわけではないが。急に「この世界はゲームで、お前たちはキャラクターだ」なんて言い出したら確実に痛い目で見られる。それはミドルスクールで死ぬほど味わった。あんな思いは二度としたくない。それに知識を得たからと言って、僕自身が強くなるわけではない。おそらくユニーク魔 8594

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    DOODLEリドデュ前提のイデデュ
    ♠️が魔法工学に興味があり、よく💀寮に通っている設定
    『デュース氏を迎える準備はできてるんで』
    「……は?」
     珍しく呼び止めてきたタブレットが『フヒヒ』と笑う。
    『リドル氏なら気付いているでしょ? デュース氏はうちの方が向いてる』
    「普段は陽キャは嫌いだの何だの言っているのに、よくそう自信満々に話せますね」
    『さてはデュース氏がマジホイについて語る所を見たことがありませんな? 熱い目をして早口で語るあの姿……。あれは間違いなくオタク……、じゃなくてイグニハイド生の素質ありっすわ。おまけに機械整備の知識ありな上に、魔法工学を教えればキラキラした目で食いついてくる。はーー、もしかして闇の鏡、寮分け間違えていたのではw』
     随分と回る口だ。そんなに話せるのなら、会議でもっとしっかりはっきりと話して欲しいものだが。
     でも彼の話すデュースの姿をボクは見たことがない。たまにマジカルホイールについて話してくれることもあるが、その時は雑誌の写真を指差して、これかっこいいですよね、と笑うだけだった。知識のないボクに気を使っていたのだろうか。
     何にせよ"差"を見せつけられて、ジリジリと胸が焼けるように感じた。
    『リドル氏も毎回、外泊届を受理するの面倒で 921

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