雨天決行:司レオ 輪郭に沿って垂れる毛先を、指で数回撫で付ける。
タクシーで直接マンションのエントランスに乗りつけたはずなのに、髪が湿気を吸って普段よりも重く感じる。そのことから司はつい、中止となった計画に思いを馳せて溜息をついた。
昨日から断続的に降る雨は、夜にかけて強まる見通し。何度も確認した天気予報は、もう確認する意味はなくても思わず覗き込んでしまう。
レオとオフの日程の擦り合わせをして、首都近郊で開催される花火大会に行こうと約束をしていた。――そう、デートとして。それは間が悪いことに、完膚なきまでにこの荒天の予報と重なる日程だった。
開催の前日というタイミングで花火大会の延期の発表がされたことは、英断だと言えるのかもしれない。ただ、司たちはアイドルであり、延期日に二人分の予定を再調整することは難しかった。
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