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    Saihate7_15_31

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    Saihate7_15_31

    ☆quiet follow

    エグシャリ。水族館デートの話。甘々。
    「あとでしましょうか?」——その囁きに心が跳ねた。
    ひどい人だと思うのに、蕩けるように惹かれる。
    ほんの少し触れただけで、全身が熱を持った。
    ねだるような瞳を向けられたら、もう終わりだった。

    #エグシャリ

    波間に揺れる恋心今日は晴れ。雲一つない青空が広がり、まさにデート日和だった。

    「今日はよろしくお願いします」

    「は、はい! よろしくお願いします!」

    待ち合わせ場所で向かい合い、エグザべは少し緊張した面持ちで頭を下げる。
    シャリアはそんな彼を見て、クスッと笑った。

    「フフ⋯⋯そんなに固くならなくても良いですよ。
    ああ、そうだ。今日はお忍びデートですから、いつもの階級呼びはなしで、ね?」

    そう言いながら、シャリアは人差し指をエグザべの唇に軽く当て、ウインクする。

    「っ⋯⋯!」

    エグザべの心臓が跳ね上がる。
    至近距離で微笑むシャリアの顔が眩しくて、思わず視線を逸らしてしまう。

    「もしかして、照れてます?」

    「ち、違います!」

    「フフ⋯⋯」

    シャリアは楽しそうに笑い、軽やかに歩き出した。
    エグザべは慌ててその後を追いかける。


    ※※※

    青空が広がる穏やかな日。
    波のきらめきがまぶしく、イルカたちが泳ぐプールの水面は澄んだコバルトブルーに輝いていた。

    「⋯⋯わぁ」

    エグザべは水辺に立ち、目の前の光景に思わず感嘆の声を漏らした。

    ここは水族館の特別プログラム「イルカと泳ぐ体験」エリア。
    シャリアと二人、ライフジャケット付きの水着を着て、今まさにイルカと一緒に泳ごうとしていた。

    「エグザべ君、準備はいいですか?」

    「は、はい!」

    緊張気味の返事に、シャリアは優しく微笑んだ。

    「フフ⋯そんなに構えなくても大丈夫ですよ。イルカたちはとても人懐っこいですからね」

    「そ、そうですよね⋯⋯!」

    そう言いながら水に入ると、ひんやりとした感触が心地よい。
    シャリアもすぐに隣に入り、トレーナーの指示に従いながらイルカにゆっくりと手を伸ばす。

    「すべすべしてますね⋯⋯」

    「ええ、本当に。とても綺麗な肌です」

    二人が撫でると、イルカは楽しそうに鳴き声を上げた。
    その仕草があまりにも愛らしくて、エグザべもシャリアも自然と笑顔になる。

    トレーナーが合図を出すと、イルカたちは二人を優しく引っ張るように泳ぎ始めた。

    「すごい……!」

    エグザべは驚きながらも、シャリアと一緒に水面を滑るように進んでいく。
    波が柔らかく身体を包み込み、イルカとともに泳ぐ感覚は、まるで夢のようだった。

    「エグザべ君、楽しんでいますか?」

    「はい! すごく楽しいです!」

    その答えに、シャリアは満足そうに目を細める。

    すると、その瞬間だった。

    「⋯えっ?」

    「うわっ!」

    「わっ!」

    なんと、目の前のイルカが突然シャリアの頬に軽く口先を押し当てた。
    驚く間もなく、もう一頭のイルカがエグザべのほっぺたに「チュッ」とキスをする。

    「フフ⋯可愛らしいですね」

    シャリアは微笑んでイルカを優しく撫でる。
    一方、エグザべは頬を押さえながら、どこか複雑な表情を浮かべていた。

    「⋯⋯エグザべ君、どうしました?」

    「⋯いえ⋯⋯ただ⋯⋯イルカに先にキスされてしまったなぁって」

    シャリアはその言葉に一瞬驚いた後、くすっと笑った。
    そして、耳元にそっと囁く。

    「フフ⋯⋯なら、あとでしましょうか?」

    「シャリア、さん⋯⋯人前ですよっ」

    「おや、失礼。そうでしたね」

    シャリアがいたずらっぽく微笑むと、エグザべの顔は一気に真っ赤になった。
    スタッフもそんな二人のやり取りに気づき、思わず頬を染めて視線をそらす。


    イルカたちはそんな人間たちの様子を楽しんでいるかのように、ピョンと水面を跳ねる。
    まるで舞台のワンシーンのように、甘くくすぐったい空気が漂っていた。

    ふと視線を移すと、水槽の向こうにゆらめく青い光が目に入る。


    二人はプールから這い出ると、タオルで濡れた体を拭いた。

    「次、水槽を見ましょうか」
    「いいですね」

    濡れた髪を軽く拭き、服に着替える。支度を終えると、並んで館内へと歩き出した。

    水槽の前に立った瞬間、エグザべは息をのんだ。
    幻想的だった。

    薄暗い館内の光を受けて、シャリアの横顔はまるで別世界の住人のようだった。

    「⋯⋯エグザべ君?」

    名前を呼ばれて我に返る。
    水槽の向こうでは、色とりどりの魚たちがゆったりと泳ぎ、青い光がゆらめいている。
    光がシャリアの髪や肌に反射し、淡い輝きを生んでいた。

    「シャリアさん⋯⋯すごく綺麗です」

    「え?」

    思わず口にした言葉に、シャリアは少し驚いたように瞬きをする。
    それから、ふっと目を細めて微笑んだ。

    「フフ、ありがとう。でも、私はただの人間ですよ?」

    そう言う彼は、やはり美しかった。

    「⋯⋯でも、シャリアさんは特別です」

    エグザべがそう呟くと、シャリアは一瞬、驚いたようにまばたきをした。だがすぐに、優しく微笑む。

    「そんなふうに言ってくれるなんて、光栄ですね」

    シャリアの声は、青い光の中に溶けるように柔らかかった。
    水槽の向こうでは、魚たちが静かに漂い、ゆらめく波紋が天井へと映し出されている。
    まるで、この場所だけが別世界のようだった。

    エグザべはふと、もっと近くで彼を感じたくなる。
    けれど、その想いを胸の奥にそっと閉じ込めた。

    「⋯ペンギンの行進が始まるみたいですね」

    不意にシャリアがそう言い、エグザべはハッとする。

    「見に行きましょうか」

    彼の差し出した手に、そっと手を添えると、二人は並んで歩き出した。

    よちよちと歩くペンギンたちが、静かな館内に小さな足音を響かせる。
    その姿を見つめながら、エグザべは隣にいるシャリアの横顔をもう一度そっと盗み見た。

    ペンギンがころんと転ぶたびに、観客から微笑ましい笑い声が上がる。エグザべもつられて笑みを浮かべた。

    「フフ……可愛らしいですね」

    シャリアが楽しげに目を細める。
    その声音はどこか優しく、穏やかで――エグザべは思わず、その横顔に見入ってしまった。

    淡い光に照らされたシャリアの微笑みが、妙に胸に響く。

    (⋯中佐の笑顔のほうが可愛い、なんて言ったらどんな反応するかな⋯⋯)

    不意にそんな考えがよぎり、エグザべは慌てて視線を逸らした。自分の頬が少し熱くなっている気がする。

    ペンギンたちはよちよちと進み続け、穏やかな時間が流れていた。

    そんな穏やかな時間が流れる中、シャリアがふと掲示板に目をやる。

    「エグザべ君、次はカワウソの餌やりですよ」

    「えっ!? 本当に!?」

     目を輝かせるエグザべを見て、シャリアは小さく笑った。

    「フフ⋯本当にカワウソが好きなんですね」

    「はい! 小さい頃からずっと好きで⋯⋯!」

    カワウソの小さな手がエグザべの指に触れる。
    その感触に、エグザべは思わず「かわいい⋯⋯」と呟いた。

    「フフ⋯⋯なんだか、エグザべ君みたいですね」

    「えっ!? どういう意味ですか!?」

    「素直で可愛いところとか⋯⋯」

    「い、意味がわかりません!」

    シャリアは楽しそうに微笑み、エグザべの手をそっと握る。

    エグザべが顔を赤くしながら口を閉ざすと、シャリアはくすっと微笑んだ。
    穏やかな空気が流れる中、二人は自然と歩き出し、次の展示へと向かう。

    その後も、二人はさまざまな生き物を見て回った。

    カワウソとの触れ合いを終え、水族館の奥へと進む。
    途中、幻想的に揺らめくクラゲの展示に足を止めたり、大水槽で優雅に泳ぐエイの姿に見惚れたりしながら、ゆったりとした時間を過ごした。

    青く静かな世界の中で、言葉にしなくても心地よい空気が二人を包んでいた。

    「エグザべ君、次はシャチのパフォーマンスですよ」

    「えっ、シャチ!? それは見なきゃですね!」

    エグザべの期待に満ちた声に、シャリアは微笑んだ。
    そして、会場に移動して席についた二人は、迫力あるシャチのジャンプに歓声を上げた。

    ——が、予想以上に大きな水しぶきが客席に降りかかる。

    「わっ⋯⋯!」

    「⋯⋯濡れてしまいましたね」

    シャリアは髪から滴る水を指で払う。
    その動作が妙に優雅で、濡れた髪が肌に張り付く様子はどこか色っぽかった。

    (やばい⋯なんか色っぽい⋯⋯!)

    エグザべは視線を逸らしたが、赤くなった耳を見咎められてしまう。

    「⋯エグザべ君?」

    「な、なんでもありません!」

    「フフ⋯⋯」

    シャリアは微笑みながら、エグザべの頬にかかった水滴を指で払った。
    その指先の感触が熱を帯びているようで、エグザべの心臓が跳ねる。

    そんなやりとりの後、最後に訪れたのは『タコとの触れ合いコーナー』だった。

    「うわ、ヌメヌメしますね⋯⋯!」

    水槽の中から伸びてきたタコの足が、シャリアの手首に絡みつく。
    彼は驚きつつも、指先でそっと吸盤を撫でた。

    「思ったより柔らかいですね」

    穏やかに微笑むシャリアの指をタコが這うように動き、エグザべは思わず息をのんだ。

    (ちょ、ちょっと待って⋯⋯この光景、危険じゃないか?)

    シャリアの滑らかな指に絡みつくタコ、その吸盤が肌に触れるたびに艶めかしく見えてしまい、エグザべは無理やり視線を逸らす。

    (やばい、触手プレイに見えてきた⋯⋯)

    「エグザべ君、どうしました?」

    「い、いえ、なんでもないです!!」

    シャリアは不思議そうに首を傾げるが、エグザべはこれ以上考えると危ないと思い、そそくさと手を引っ込めた。

    今日一日で何度顔を赤くしたかわからない。
    でも、確実に言えることは——。

    「⋯とても楽しかったです!」

    「フフ⋯それは良かった」

    シャリアが静かに微笑み、エグザべの手をそっと握る。

    波の音が優しく響く中、二人の距離はゆっくりと縮まっていった——。



    ※※※


    夕暮れの海辺を、二人はゆっくりと歩いていた。

    空は茜色に染まり、波打ち際に映る光が揺れる。
    その景色はどこか幻想的で、まるで二人の世界だけが優しく包まれているかのようだった。

    エグザべはちらりと隣を歩くシャリアの横顔を盗み見る。
    海風に吹かれた前髪が揺れ、柔らかい光を浴びた横顔が、どこまでも穏やかで美しい。

    ——今なら、言えるかもしれない。

    「シャリア、さん⋯⋯今日はありがとうございました」

    「いいえ、私も久しぶりに羽を伸ばせて楽しかったですよ。また、誘ってください」

    シャリアは優しく微笑む。
    その笑顔があまりにも温かくて、エグザべの胸の奥がぎゅっと締め付けられた。

    「また、誘ってもいいんですか?」

    「もちろん」

    その言葉に、エグザべの心臓が跳ねる。嬉しい。
    けれど、それ以上に——今、この気持ちを伝えたい。

    「あ、あの⋯⋯」

    意を決してシャリアの正面に立ち、彼の名前を呼ぼうとした瞬間、ちょうど波が寄せてきて足元が濡れる。

    シャリアはふっと笑い、少し後ろに下がった。

    その仕草すらも愛しく思えてしまう自分に、エグザべは戸惑いながらも勇気を振り絞る。

    「シャリアさん⋯⋯」

    ゆっくりと手を伸ばし、シャリアの手をそっと包み込む。
    その感触に、シャリアは驚いたように目を瞬かせた。

    けれど、拒まれることはなかった。

    エグザべはもう迷わない。

    夕日を背に、そっとシャリアへ顔を近づけ——。

    唇が重なる。

    柔らかくて、温かい。

    最初はただ触れるだけの優しい口付けだった。

    けれど、胸に溢れる想いがそれだけでは収まらず、エグザべはシャリアの後頭部へ手を添えると、深く吸い寄せるように唇を重ねた。

    「⋯⋯っ」

    シャリアの肩が小さく震える。

    けれど、押し返されることはなく、逆に彼の指先がエグザべの胸元にそっと添えられた。

    それが、拒絶ではないと分かった瞬間——エグザべの中の理性がゆっくりと溶かされていく。

    「エグザべ、君⋯⋯これ以上は止まらなく⋯なります⋯⋯」

     掠れるようなシャリアの声が、耳に甘く響く。

    「止まらなく⋯なってもいいんじゃないですか?」

    言葉の通り、エグザべはさらに深く口づける。

    唇を啄むように触れ、角度を変え、シャリアの息を奪うように何度も重ねる。

    そのたびに、シャリアの肩が小さく揺れ、呼吸が浅くなっていくのがわかった。

    「エグザべ君⋯私は、君よりもおじさんで⋯君の上司ですよ?」

    掠れた声でそう言うものの、その言葉に力はなかった。

    むしろ、その手はエグザべの腕にすがるように触れている。

    「⋯そんなの、関係ありません」

    エグザべは迷いなく答えた。

    シャリアがどんな立場であろうと、年齢がどうであろうと——今、この人を求める気持ちに嘘はつけない。

    エグザべの指がシャリアの頬をなぞると、彼の瞳がわずかに揺れる。

    もう、抵抗する気はないのだと、その瞳が物語っていた。

    再び唇を重ねると、シャリアの吐息が漏れる。

    「んっ、はぁ⋯⋯」

    腕の中で身を預けるように寄りかかってくるシャリアを、エグザべはしっかりと抱きしめた。

    波の音が遠くに聞こえる。

    夕日が沈みかけ、空は赤から紫へと移り変わる。

    この時間が、どうか終わらなければいいのに——そう願わずにはいられなかった。

    シャリアの髪に顔を埋め、そっと囁く。


    「⋯⋯このまま、どこにも行かずにいられたらいいのに」

    エグザべの囁きに、シャリアはそっと微笑んだ。

    「⋯⋯エグザべ君は、わがままですね」

    「シャリアさんが、そうさせるんですよ」

    エグザべは絡めた指をきゅっと握り、名残惜しそうにシャリアの唇に触れる。

    「⋯⋯こんなに好きなのに、どうしたら伝わるんでしょう」

    「もう、十分伝わっていますよ」

    シャリアは優しく微笑みながら、エグザべの頬に触れた。
    その温もりに包まれ、エグザべは幸せに目を細める。

    「⋯⋯それでも、もっと欲張りになってもいいですか?」

    「⋯⋯仕方ありませんね。貴方の好きなように」

    囁く声が、甘く耳をくすぐる。
    エグザべは堪えきれずにもう一度、シャリアの唇を奪った。

    シャリアの囁きを合図に、エグザべはもう迷わなかった。
    絡めた指をさらに強く握りしめると、甘い吐息とともにシャリアの唇を深く奪う。

    触れるだけの口づけでは足りなくて、舌先でそっと唇をなぞる。すると、シャリアの身体がわずかに震えた。

    「ん⋯⋯っ」

    誘うようなその反応に、エグザべの理性が煽られる。
    遠慮がちだった舌をゆっくりと差し入れ、シャリアの柔らかさを確かめるように絡めとる。

    「⋯っ、ふ⋯⋯」

    熱を帯びた吐息が混ざり合い、唇が触れるたびに水音が零れる。シャリアの腕がエグザべの首に絡みつき、唇を逃がすどころか、さらに深く求めてくる。

    それが嬉しくて、エグザべはシャリアの腰へと手を滑らせた。
    ゆっくりと撫でると、指先に伝わる温かさが心地よくて、もう少し触れていたくなる。

    シャリアの身体が小さく震え、エグザべを見上げる瞳に色が宿る。

    「⋯エグザべ君⋯⋯」

    掠れた声が、どこか戸惑いを滲ませる。
    それでも拒まれないことに甘えて、エグザべはさらに密着するようにシャリアの腰を引き寄せた。

    「⋯こんなに求めてるのに、どうしたら足りるんでしょう」

    「⋯⋯そんなふうに求められたら、余計に足りなくなるんですよ?」

    囁く声が、甘く耳をくすぐる。
    エグザべは堪えきれずにもう一度、シャリアの唇を奪った。

    絡めた舌を離さずに何度も深く口づけるたび、シャリアの息が甘く乱れる。

    「んっ⋯はぁ⋯⋯っ」

    シャリアがエグザべの肩に指を沈める。
    ほんのり赤くなった唇が、熱っぽく開閉して、無防備に彼を誘っていた。

    そんな姿が、愛おしくて、堪らない。

    「⋯⋯もっと、貴方を感じたいです」

    「⋯⋯仕方ないですね。好きなだけ甘えてください」

    名残惜しそうに囁き、エグザべはそっとシャリアを抱きしめた。

    波音が静かに二人を包み込み、赤く染まる空の下、触れ合う温もりだけが、いつまでも消えずに残っていた——。



    -END-
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