【斬一】異聞篇if(習作)「ゃ……ぁっ………イ、ケなっ……たすけっ……ざんげ、っ、たすけ……ひぅっ…」
置いてきた影越しに、己を求める一護の声を聞いて斬月は僅かに口角を上げる。
嗚呼早く、愛し子の元に戻らなければ。
そのためにも、と黒衣の男は目の前を見据える。
ーーこの外敵たちにはお引き取り願わなければならない。
目の前には年若い死神がふたり、男に向けて刀を構えていた。
赤い髪の男と小柄な黒髪の娘。
阿散井恋次、朽木ルキア。
どちらも一護の裡からよく見る顔だった。
あの子の友人であり、そしてーー
ーー朽木ルキアが連行されることで、一護は尸魂界に向かう意志を固めた。
ーーそもそもその朽木ルキアと出会ったことで、一護は生者でありながら死神の存在を知ってしまった。
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