兄弟「俺、兄貴のこと好きだよ」
弟はへらりと笑って言った。
厄介な催眠にかかったな、と思った。
ロナルドがそういう意味で俺を好きなのは知っていた。
「俺あにきの為ならなんでもできるんだぜ」
「あ…こら」
「目瞑ってていいから」
目の前で徐に膝をつくと、ふにゃふにゃに萎えた俺のものを持って赤く熟れた口に運ぶ。
中が熱くうねって、まるでこのまま飲み込まれてしまうような。
「ね、あにき」
昔から変わらない透き通った瞳がドロドロと溶けていく。
女の子とは違う大きな身体で
強い力で
健気に俺を好きだと言う弟を
酷く可哀想に思った。
「好きだよ」
どろり
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「あにき!」
「おお…ロナルド」
あれから顔を合わせづらくなった。
「あにきごめん…この間のこと俺、覚えてなくて…
めっ迷惑かけてなかった?」
ずいと顔が寄る。ロナルドを見やると透き通った瞳と目が合って、
『俺あにきの為なら───』
ガチャン!
よろめいたロナルドの手がカップに触れて、大きな音を立てて割れた。
思わず突き飛ばしてしまったショックと罪悪感、そして記憶のフラッシュバックに視界がぐらぐら揺れる。
「え…」
「あ…」
弟を受け入れられない俺は
兄失格だろうか。